恐怖城のレビュー・感想・評価
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ほんとにほんとに最初のゾンビ
私、とんでもない失態を晒してしまいました。「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」がゾンビ映画の始祖なんて言っちゃいましたがもっと古いのありましたね…。ちゃんと自分で調べなきゃだめね…(泣)
さて、映画史において最初にゾンビが登場したのが本作「恐怖城」。原題「White Zombie」。なんと1932年の作品とのこと。
「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」は現代ゾンビ映画のテンプレを確立させた作品で、「恐怖城」は映画界にゾンビを初登場させた作品。…って誰かが言ってました(保険)。
その内容たるやいかに!
この作品に出てくるゾンビは死んでから蘇るのではなく、仮死状態にされた人間のようです。虚ろな目、ノソノソと覇気のない動き、自我は無く、ゾンビマスターに操られる存在です。
ゾンビマスター!
そう、現代ゾンビ映画に多い感染系のゾンビと根本的に違うのはここですね。
そしてこのゾンビ達はソンビマスターが命令しない限り人を襲ったりしません。普段は工場で働いています。文句を言わず、24時間ぶっ通しで働いてくれる完全無欠の労働マシーンです。
このゾンビマスターをかの名優ベラ・ルゴシが演じているのですが、素晴らしいインパクトを見る者に与えてくれます。この少し大袈裟かな?と思える演技は好き嫌いが別れるかも知れませんが、私は好きです。
ストーリーは意外な愛憎劇。ゾンビ化されたヒロインをめぐる愛と悲しみのストーリーは涙無しには観れません。人間対ゾンビの大殺戮ショーを期待していた私は意表を突かれ涙腺崩壊。
若干前に出過ぎな気がする音楽が素晴らしい!いや、この塩梅がいいのだろう。クラシカルな弦楽による演奏が各場面を彩ります。
ゾンビの怖さというより、ゾンビ化されることの悲しさが強調されていたかと思います。労働ゾンビはさながら日本社会を支えている社畜サラリーマンのようでもあります。(失礼…)
ベラ・ルゴシの名演、非常に濃いストーリー、何よりゾンビ映画はここから始まった!多分!(笑)
文句なしの名作でした!
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