ガウチョウ
解説
「海賊(1926)」に次いで製作せられたダグラス・フェアバンクス氏主演映画で、「海賊(1926)」や「バグダッドの盗賊(1924)」の原作者エルトン・トーマス氏が書き卸した物語をロッタ・ウッズ女史が脚色し、「笑王ベンターピン」「スザンナ」等を監督したセネット門下のF・リチャード・ジョーンズ氏が監督したものである。相手女優には共に無名のルーペ・ヴェレス嬢とイヴ・サザーン嬢とが抜擢され、グスタフ・フォン・セイファーティッツ氏が悪役を演じ、ニジエル・ドゥ・プリユリエ氏、ミカエル・ヴァヴィッチ氏、カーロッタ・モンテイ嬢等が助演している。
1927年製作/アメリカ
原題または英題:Douglas Fairbanks as the Gaucho
ストーリー
パンパスの、大平原には騎乗に熟達した、慓悍な遊牧の民すなわちガウチョが住んでいる。ガウチョの首領は勇敢無双な乱暴者であり豪放磊落な快男児であった。パンパスの西の方アンデス山脈中の山間に1つの露顕あらたかなる神を祀った神殿があり、敬虔な神官が「社の娘」と呼ばれる麗しい処女と共に聖地を謹つていた。この神殿の財産を剥奪せんとしてルイスという簒奪者が部下を引き連れて押し寄せた。それと時を同じうしてガウチョの一隊も聖殿参拝の途に就いていた。ガウチョの首領はアンデスの山中で妖艶な娘に出遭った。首領の凛々しい男振りに心を促えられた山の娘は、やがてその燃ゆる情熱をもって首領を恋の虜とした。しかし首領は神殿に詣でた時ふとも見た社の娘の清楚な美しさに打たれた。彼はその滑らかな美しさに魂を奪われた。嫉妬に狂った山の娘は社の娘の飛びかかった。驚いて社の娘をかばった首領は山の娘の刃に傷ついた。その傷口に首領を恨む感染症患者が不意に病毒を移し植えてしまった。首領は死を決して森の中へ隠れた。社の娘は気の毒に思って神を信じさえすれば必ず癒ると説き聞かせて神殿に伴い、首領とともに祈を捧げた。それを誤解した山の娘はルイスの部下の首領の所在を教え、たちまちにして後悔し、また首領と社の娘とが決して恋仲ではないことを知った。恐ろしい感染症が癒って夢中に喜んだガウチョの首領をはじめ神官も社の娘も捕らえられてしまった。驚号した山の娘は馬を駆ってガウチョの部下たちの屯所へ首領の危急を知らせた。首領は牢獄を脱して来援した見方に合し、小勢を以て能く策略を施して優秀なルイスの兵隊を潰滅せしめた。かくて神官と社の娘とは救け出され、聖地は再び静穏となった。そしてガウチョの首領と山の娘とは永遠の愛を誓った。
スタッフ・キャスト
- 監督
- F・リチャード・ジョーンズ
- 脚色
- ロッタ・ウッズ
- 原作
- エルトン・トーマス
- 撮影
- トニー・ゴーディオ