彼の女

解説

「市街」「失われた抱擁」出演のゲイリー・クーパーと「陽気な中尉さん」「彼女の名誉」のクローデット・コルベールとが共演する映画で、デール・コリンズ作の小説に基づいて「小間使(1931)」「私の罪」のアデレード・ヒールブロンとメルヴィル・ベイカーが共同して脚色した「時計の殺人」「砲煙」のエドワード・スローマンが監督、「夜の天使」「喧嘩商会」のウィリアム・スタイナーが撮影した。助演者は「女秘書の秘密」のエヴリル・ハリス、「私の罪」のハリー・ダヴェンポート、「小間使(1931)」のシャーロット・ウィンタース、リチャード・スピロ、ジョーン・ブレア、ラクェル・ダヴィダらである。

1931年製作/アメリカ
原題または英題:His Woman

ストーリー

熱帯のある港に停泊中、貨物船の船長サム・ホエーランはボートに捨てられたかわいい赤坊を助けあげた。彼は勿論その子を港の役人に引き渡すつもりだったが、可愛そうになってついに船の子として育てる気になり、サリーという適当な乳母を雇った。彼女はある恐喝事件の係わり合いになるのを怖れてニューヨークを逃れ、いまはこの港街のダンスホールの踊り子に身を変えていたのであるが、一貨物船の船長が乳母を探していることを聞いて、質素な真面目な身なりに改め、自ら宣教師の孤児と名乗ってきた。サムは彼女を信頼して赤ん坊の養育を任せた。船がこの港を出航してからある霧の深い夜のこと、サリーの身分を知っている運転士のゲイトスンは彼女を脅迫して自分の卑しい欲望を満足させようとして争っているはづみに甲板から海中に転落した。霧のためその捜索も空しい努力だった。サリーは赤ん坊を介してサムに接する毎に、サムの粗野なしかし男らしい温か味のある人格に次第に心を引きつけられ、何時か彼を恋するようになった。幾日かの航海の後船はニューヨークの波止場についた。霧の夜海中に落ちたが幸い他の船に助けられたゲイストンの訴えでサムは殺人未遂で捕えられた。サリーは愛するサムが無実の罪に落とされるのを救うために一切を告白した。サムは始めてサリーが魔窟に等しいダンスホールに働いていた事を知り、失望し驚愕したそして彼女に感じていた尊敬の念も温かい同情も一時に薄らぎ冷め果ててしまった。彼はこの幻滅を癒すべく日夜強烈な酒を浴びて暴れ歩いた。時しも赤ん坊のサミーは急病におそわれた。サムは何をしたらいいのか判らなかった。医者は赤坊の命を救い得る者は母に代わるべきサリーの他にはないといった。サミーへの愛着からサムは自尊心を捨ててサリーに再び船へ戻ってくれと懇願した。サミーはサリーの手厚い看護で危期から脱する事ができた。お互いの心と心とでは愛を感じ合っているサムとサリーの仲は、サミーの病気によって始めてその距離を除かれた。かくて二人はロマンティックな航海に就いた。

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