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「映画史上に残る問題作と言われた名作!」怪物団 フリークス だいふくさんの映画レビュー(感想・評価)
映画史上に残る問題作と言われた名作!
映画史上に残る問題作?ブラウニング監督の映画人生を閉ざした映画???
いや、そんなことは無い!
これほど、深くて考えさせられる作品も無いと思えるのです。
なぜ、そこまで毛嫌いされたかというと、本物のフリークスが出演しているためで単にそれだけなのです。そこには、決して観てはいけないもの、グロイものは全くないのです。ただ、本作は健常者を精神的な悪と描いてしまったため、当時批判のやり玉になったのではと思います。
ストーリーは至ってシンプルで、空中ブランコの美しい健常者クレオパトラが小人ハンスのお金目当てのために近寄り毒殺しようとする。そして結婚式当日、思わずフリークスをあざ笑い禁断の侮辱の言葉を発してしまう。そこから仲間達は復讐を遂げ、その結果クレオパトラは見るも無残な姿に変貌し、見世物小屋で活躍する1人となってしまうというお話です。
内容を読むだけだと結構ショッキングなのですが、このくらいの残酷な内容は当時もあったはずです。そして映画はコミカルにかつ真面目に作られた作品でした。監督は、外見よりも本質は中身なのだと訴えたかっただけなのです。映画を観ていると分かりますが、ブラウニング監督のフリークスに対する愛すらも感じられる映画なのです。
では、世間の反応はどうだったのでしょう?差別や虐待だと罵りまくったということです。しかしどうでしょう?映画を観ていると、監督が一番差別無く扱っていると思えるんですよね。よっぽど世間の反応のほうが差別を生んでいるような気がしませんか?
本作とは関係ないのですが、こんなエピソードもあります。フリークスが投げ捨てられるある映画が撮られていたのですが、世間の大反対により撮影は中止になりました。しかし、彼らは「我々の仕事を取らないで」と嘆いたといいます。
そうなんです。フリークスを特別扱い、そして遠ざけることこそが差別で彼らの行き場所をなくしている気がします。
出てくる役者は、小人、結合双生児(ヒルトン姉妹は他の映画にも多数出演している)、髭女、半陰陽、小頭症、吃りがひどい男、下半身が無い男、胴体しかない男が出てきます。でも、彼らはのびのびと演技しているように見えました。立派な彼らの仕事場と感じるのです。