各国の女
解説
ラウール・ウォルシュ監督、ヴィクター・マクラグレン、エドモンド・ロウ主演。すべて「藪睨みの世界」と同じ組み合わせの下に製作された映画でバリー・コナーズが原作及び台詞執筆、「ビッグ・トレイル(1930)」のルシエン・アンドリオ撮影担任。助演者は「ファジイル」のグレタ・ニッセン、「ビッグ・トレイル(1930)」のエル・ブレンデル、「鉄骨エロ騒動」のフィフィ・ドルセイ、マージョリー・ホワイト、マリオン・レッシングその他である。
1931年製作/アメリカ
原題または英題:Women of All Nations
ストーリー
中米の共和国ニカラガの反乱をようやく鎮定した米国の陸戦隊は仕事が一段落つくと同時に本国のブルックリン・ネヴィー・ヤードから帰国せよという訓電をうけた。そこでフラッグとクァートの二軍曹も隊の一員であるので帰還の軍艦に乗ることとなった。ブルックリンにつくとフラッグは同僚のオルセンヌ募兵係事務所に働くことになったが、クァートは軍籍を退いて風呂屋という思い切った商売を始めた。ところがこの募兵掛事務所と廊下を隔てた向こう側に美容室があって、ここへ日々数多くの美人が出入りする。元来が女に目のないオルセンとフラッグなのでこの美容室に女が来るたびに2人は喜んで見ほれる。だが、さてなかなか近づきにはなれない。苦心の末、一策を思いついたフラッグが、ようやくその企みに従ってまさに成功の緒につこうとした刹那、彼らの事務所は突如多勢のために乱入されてせっかくの計画は水泡に帰してしまった。そこでブルックリンの女は脈がないと諦めたフラッグは折りから風呂屋の商売に失敗したフラッグと一緒にまた陸戦隊に入隊することになった。程なく命令が下って陸戦隊はこんどはスウェーデン指し手繰り出すのであった。寒いスウェーデンのゴーテンベルヒに着くや彼等はその氷の張り詰めた土地に美しいグレタを見いだす。グレタはある酒場の踊り子でたちまちこれにうつつを抜かしたフラッグとクァートは彼女の愛をかち獲んものと、ちょうどクリスマスにあたったのを幸い杯の数を重ねて踊り狂った。そしてクァートを出し抜いたフラッグがようやくグレタの住居まで進出し、まさに願望成就せんとするとき、やにわに1人の巨漢現れて室外へかけ声もろとも放り出されてしまた。後で聞けばこの巨漢こそはグレタの愛人のオラフと知れた。やがて再び陸戦隊出発となり彼らを乗せた軍艦は針路を南にとって地中海に向け白波を蹴ってすすんだ。地中海の沿岸、トルコ基地に到着した時、フラッグとクァートはそこに思いがけなくグレタを再び発見した。話を聞けば、かねて志すトルコの閨房の女王たらんがためこの地へ訪れ、いまではその望みを達してトルコ王子の寵姫となっているとのことである。やがてニューヨークのコニー・アイランドで聞きなれたメロディーがある宏壮なる邸宅からもれて来る。その聞き覚えある楽の音をたよりにたどりたどっている間に2人はいつか壮麗なる宮殿の中におのれ自身いることに気づく。見回せばこれはこれいかにクァートとフラッグのいる所こそはトルコ王宮中の、しかも男禁制の閨房なのであった。2人はびっくりして逃げだそうとした。だがグレタの姿を見いだすや否や、早くも危険にさらされつつあることなどは忘れ、彼らの間にはグレタ争奪戦が開始される。そこへしずしずと現れたのはトルコ王子で王子は場所柄をも構わず乱暴狼藉を働く2人を取り押さえんため臣下が息巻いていると告げる。さすが、恋の強者達も初めて身辺に危険迫れることを気づき一目散に宮殿外へ退却した。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ラオール・ウォルシュ
- 脚色
- バリー・コナーズ
- 原作
- バリー・コナーズ
- 撮影
- ルシエン・アンドリオ