お化け大統領
解説
ニューヨーク劇壇の大立者であり、かつて無声映画時代「七つの鍵」「驚天動地」に主演したジョージ・エム・コーハンが、最初に主演した発声映画で、ジョージ・F・ワーツの小説を「ハリウッドは大騒ぎ」のウォルター・デレオンと「腕はたしかか」のハーラン・トンプソンとが脚色し、「腕白大将」「スーキー」のノーマン・タウログが監督した。コーハンの相手は「百米恋愛自由型」「貨物船と女」のクローデット・コルベールで、「キューバの恋唄」「河宿の夜」のジミー・デューラント、「進めオリンピック」のジョージ・バービアの他、シドニー・トーラー、ジェームズン・トーマスが出演する。撮影は「ミラクルマン(1932)」「我等は楽しく地獄へ行く」のデヴィット・エーベルが担当している。
1932年製作/アメリカ
原題または英題:The Phantom President
ストーリー
アメリカは国を挙げての大さわぎ、大統領選挙です。禁酒法、ギャングの横行に悩み抜いたアメリカ国民だ。次回大統領には、シュヴァリエのような興行価値100%の政治屋を望んでいます。わがブレアー氏もこの選挙戦に出馬していますが、落馬しそうです。彼は人格者ですが興行価値がない。第一、性的魅力がない。前大統領の娘フェリシアを口説いて完全にのされたのです。推薦者ロンクトン等4人組の上院議員は、娘にあしらわれたブレアーを見て、そぞろ意を寒うしたのです。折もおり、路傍で、世にかくも不思議な現象がありえるものかとばかりブレアーに瓜二つで、しかも雄弁な薬売り商人ヴァーニイを見つけ、早速、興行価値の薄いブレアーの替玉に彼を雇うことにした。ところが、家人はもちろんフェリシアまでが、ヴァーニイをブレアーに見間違えるという始末。結局、性的魅力のあるヴァーニイが何時も先手を打ち、フェリシアは次第に彼の手中に落ちていく。ある日、ヴァーニイはフェリシアを郊外に連れ出したが、反対に彼女は口説かれそうな形勢に、あわてて逃げ帰ったが、そうした2人の仲をブレアーは激しい嫉妬の眼で眺めつづける。彼の選挙運動とは、子供と野球をやって仲良しになることで演説は大道商人気質の地で唄を歌うことで、相棒カーリイの力を借り、ブレアー氏の当選は確実性を帯びてくる。ヴァーニイが遊説に出かけた留守中、ブレアーは無頼漢を雇い、帰宅した途端に彼を北極にかっぱらう計画を立てたが、折悪く来合わせていたフェリシアにすべてを見破られ、彼女の奇智で誤ってブレアーはヴァーニイに間違えられて誘惑されてしまう。さて、最後の難関、ラジオ放送でステートメントを発表する時、ブレアー氏の心中を考え、空虚な自分やフェリシアの心を考え、放送で今度の事件のからくりをぶちまけるつもりだったが、早くも、例の4人組の気づくところとなり、危ういところでこの暴露演説は中断されたので、フェリシアのほかだれも知るものはなかった。ブレアー氏の当選!フェリシアはブレアーが誘惑されてしまったこと、同時にヴァーニイ自身に恋していることを告げた。4人組はまたすべての秘密を胸にたたみ、ここに、ヴァーニイは相棒のカーリイと新婦人フェリシアを連れてホワイトハウスに乗り込んだのです。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ノーマン・タウログ
- 脚色
- ウォルター・デレオン
- ハーラン・トンプソン
- 原作
- ジョージ・F・ワーツ
- 撮影
- デイヴィッド・エーベル
- 音楽
- リチャード・ロジャース
- ロレンツ・ハート
- 作詞
- リチャード・ロジャース
- ロレンツ・ハート