奥様は魔女(1942)のレビュー・感想・評価
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無邪気で純粋なスクリューボール・コメディだ。
公開当時(1942年)にしては、かなり先進的でセンスに満ちた映画で、魔女と人間の男性の恋を、軽妙でお洒落に描いたのが、フランス人監督ルネ・クレールらしいかなと。
本作は、魔女狩り裁判として実際に起きたセイラム魔女裁判(1692年-1693年)を元にしていて、灰となって閉じ込められた魔法使いと魔女の父娘が、自分たちを火あぶりにした清教徒とその子孫に罰を与えるべく、呪いをかける話になっている。
ヒロインが、悪意を持って罰を与えようとした人間の男性に、かえって恋をしてしまうところが面白い。男性が州知事を目指し、有力支援者と結婚直前だった話を、巧みに絡めている。
明るくカラッとしたロマンスと、遊び心に満ちた魔術が楽しく盛り込まれている。無邪気で純粋なロマンティック・ファンタジーだが、お笑いの要素も強いスクリューボール・コメディだ。
クソ真面目に独立をしたプロテスタントに対するアイロニー。
アメリカ映画なのだからアメリカの所だろうが、『270年前からこの街に住む魔女』と言っている。つまり、この時点が1942年なのだから、
そこから270年を引くと1672年。
イギリスの植民地時代のアメリカに既に魔女がいた。と言う事になる。
さて、どちらにしても、『WITCH』とは本来は良い意味ではない。異教徒を差別する時に使う。さて、その頃のアメリカはメインフラワー号とピューリタンの土地。故にその魔女と言う事はカトリック教会もそれになる。本来はカトリックが他の宗教を魔女として弾圧をしたが、それをピューリタンなアメリカとして、フランス系の白人が揶揄しているのじゃないかなぁ。つまり、『ヤンキーゴーホーム』と同じようなものだと思う。
テンポも良くてとても見やすい
プライムで出会わなかったら決して見ることもなかった事であろう作品。
子供の頃ドラマ版をよく見たものですが、まさかこんな古い時からあった作品だったのですね?
冒頭いきなり魔女狩りな場面で怖い。子供の時みたアメリカンホームコメディーなテイストはどこへ?ってなります。
でもこの復習となる骨子が実に巧妙に生かされており、導入のエピソードとしてはかなり良く出来ていました。
用意した惚れ薬を自信が飲んでしまった辺りの演出など、何とも可愛さに溢れているんですよね。
あと、お父さんの酒瓶にいる時の「わしの楽しみと言ったらこの中にいる時だろうな、最高な気分だよ」が酒呑みにはすっごいよくわかります!幸せだろうなぁ。
終わってみると、メイドさんが一番真っ当な人に見えました。
テンポも良くてとても見やすい構成。2022年の今でも飽く事なく観れる、実に爽快な作品でした。
本作はあだやおろそかにしてはなりません 全ての魔女もののルーツです
1942年白黒作品
ルネ・クレール作品ですが、米国で撮られています
1935年に英国に移り、戦争が始まると米国に移ったそうです
戦後フランスに戻るまで、ハリウッドで本作を含めて4本撮っています
改めて観て驚くのは、その先進性です
軽妙なコメディ進行、ヒロインの魔女ジェニファーの造形の現代性
1950年代のテレビ番組のように垢抜けているのです
10年以上先進な映画だと思います
ジェニファー役を演じたヴェロニカ・レイクのキュートさ!
この時代にこのようなコケティッシュな女性をよくぞ探しだして演じさせたものです
小柄で細くて腰も横に張っていません
でも胸だけは前に突き出ています
横分けの金髪の巻き毛が豪華です
グラマーではなくキュートなのですが、セクシーでもあるのです
このような女優は1960年代後半にならないと現れて来ないタイプです
ミア・ファローをセクシーにしたら彼女のようになるかも知れません
ラストシーンジェニファーが産んだ娘達が登場します
このシーンにご注目
メイドのマーガレットがお転婆過ぎて困っている幼女は箒に跨がっています
彼女の名前はサマンサでした
1964年から1972年の8年も続いた本作が元になったテレビシリーズの魔女の奥様の名もサマンサでした
テレビシリーズは幼女サマンサが成長してのお話だったのかも知れません
でも魔女のちょっと意地悪おばあちゃんの名前はエンドラなので、サマンサの名前だけ借りているだけですね
それでも本作を知っているならニヤリとする名前です
本作が無かったら、このテレビシリーズはもちろん有りません
そうなると大変です
魔法使いサリーも、魔女っこメグも、魔女の宅急便まで丸ごと魔女のジャンルが消えて無くなってしまうのです!
だから本作はあだやおろそかにしてはなりません
全ての魔女もののルーツです
クレールタッチのアメリカ映画の楽しさとヴェロニカ・レイクの魅力的女性美
祖国フランスを離れてアメリカ映画を演出したルネ・クレール監督は、戦前の名作と比較しては見劣りがするが、それでもクレールらしい一流の上品なユーモアは健在である。「明日を知った男」と共にクレールの楽しいアメリカ映画。
ヴェロニカ・レイクの悪女振りが素晴らしい。アメリカの女優と云うよりヨーロッパ的な色気の漂う美女で、演技力より存在感で魅了する。クレール演出も流石にテンポ良く、語り口の上手さは充分認められる。魔法によって新生児の赤ちゃんが一斉に主人公の名前ウォレスを連呼するところに、大爆笑。知事選立候補のウォレスを勝たせようとする魔法の力は、対立候補にも及び、有ろうことか嬉々としてウォレスに投票する有り様。そして、対立候補の得票数の選挙結果が0票と知ってウォレスが唖然とするカットも可笑しい。
作品としては小品でも、クレール監督の粋なタッチとヴェロニカ・レイクの美しさと魅力に乾杯!
1997年 2月28日 衛星第2
Love is stronger than witchcraft. 美形ヴェロニカ・レイクが魔女をキュートに演じています
テレビドラマやニコール・キッドマン主演で映画になった「奧さまは魔女」の元祖です。クラシックムービーなので所々観づらい箇所もありますが、意外とはまって観てしまいました。
主演のヴェロニカ・レイク。クールビューティーな感じなのですが、コメディアンヌっぷりが超絶可愛い!人間の男性を好きになってしまう魔女を魅力的に演じています。
車が飛んだり、暖炉に勝手に火が付いたりと今では何て事のないシーンも、もし当時映画館で観てたら衝撃だったんだろうなーっと昔に思いを馳せながら楽しめました。
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