海のロマンス
解説
「スペインの花」「悲恋舞曲」等でヴィルマ・バンキー嬢と共演したロナルド・コールマン氏がバンキー嬢と別れて後の第1回主演映画で、サミュエル・ゴールドウィー氏提供作品である。英文豪ジョセフ・コンラッド氏の物した小説を映画化したもので、「ソレルとその子」で協力した脚色者エリザベス・ミーハン女史と監督者ハーバート・ブレノン氏とが再び是れに於ても協力し、互いに脚色し、監督している。コーマルン氏の対手役は「紅涙悲帖」のリリー・ダミタ嬢が渡米後第1回の出演として努めているほか、テォドール・フォン・エルツ氏、ジョン・デイヴィッドソン氏、ラスカ・ウィンタース嬢、デューク・カハナモク氏、フィリップ・ストレンジ氏、上山草人氏、等の人が助々演している。
1929年製作/アメリカ
原題または英題:The Rescue
ストーリー
トム・リンガードは冒険好きな男で、持船ライトニング号を以てジャバ沿海に航し、原住民と自由通商していた。トムはある時偶然の事件からワジョ村の原住民の激昂を買い襲われたが酋長ハシムによって救われた。が、ハシムのこの好意は巳に禍いしハシムは妹のイマダと共に村から追れた。トムは兄妹を己れの帆船に引取り、やがてハシムをして元の地位に復させようと機会を持つのであった。島に最も勢力ある酋長ベララッブや海賊のタマンはトムの所有する多数の銃及び火薬を欲しがっていたが、この島が蘭領であり当局に知れることを恐れたトムはその交渉を秘密にしていた。たまたま英国の議員トラヴァース夫妻の乗っていたヨット、エマ号はこの附近で座礁し、ライトニング号に援助を求めた。当局の干渉を懸念したトムは進んで援助せずしかし海賊の危険を説いて己れの船に乗り移るように勧めたが、これを拒絶して上陸したトラヴァースは果してスペインの貴族ダルケーサーと共に原住民に捕えられる。夫が捕われたと知ったトラヴァース夫人はトムに救いを求める。かく対面したトムと夫人とは互いに胸のときめくのを感じた。トムはダマンの手から2人を釈放してもらって来る。トムはの陸中、ライトニング号をエマ号の乗組員カーターに委任し原住民に発砲することを禁じて置いたが、誤解から彼は発砲し、原住民数名を倒した。これでトムの折角の酋長への誓が破れた。仕方なくトムは再び捕虜を連れて酋長の前へ行く。ダマンはエマ号を襲いハシムとイマダを捕える。トラヴァース夫人はトムに急を告げる。2人の情はまた燃え上った。その間、ジャフィルはハシマとイマダを救いエマ号に連れ戻った。暁になってダマンは部下を連れて独木船にて襲いかかったが、留守を預るジョルゲンセンは窮余の策、火薬倉庫船を爆破してしまう。かくて彼とジャフィルの外は皆死んでしまった。この爆破により座礁していたエマ号は離礁する。酋長ベララッブはトム及び捕虜に4時間以内に島から退去することを命じた。そしてトムとトラヴァース夫人とは互いの思いを胸に抱いたまま別れるのであった。イマダの秘かにトムに寄せた儚ない遂げられぬ恋。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ハーバート・ブレノン
- 脚色
- エリザベス・ミーアン
- 原作
- ジョセフ・コンラッド
- 撮影
- ジョージ・バーンズ
- ジェームズ・ウォン・ホウ