海の男
劇場公開日:1949年11月
解説
「北海の子」「海の魂」と同じくヘンリー・ハサウェイが監督した海洋映画で、サイ・バートレットが自らの原作を「ジェキル博士とハイド氏」のジョン・リー・メインと協力脚色したもの。撮影は「荒野の決闘」のジョー・マクドナルドで、音楽はアルフレッド・ニューマンが作曲した1949年作品である。主演は冷血残忍の悪役で名をあげスターとなったチャード・ウィドマーク、「育ちゆく年」の少年スター・ディーン・ストックウェル、「秘めたる心」「わが家の楽園」のライオネル・バリモアの三人で、「我輩は名剣士」のセシル・ケラウェイ、「三十四丁目の奇跡(1947)」のジーン・ロックハート、「鉄のカーテン」のベリー・クローガー、「独身者と女学生」のハリー・ダヴェンポート等が助演している。
1949年製作/アメリカ
原題または英題:Down to the Sea in Ships
劇場公開日:1949年11月
ストーリー
1887年、捕鯨船『ベドフォードの誇り』号は鯨油を満載して母港ベドフォードに入港した。70歳を超える老船長ベーリング・ジョイは船主ハリスが引退せよというのを拒絶して、再び捕鯨の壮途につく決意であった。父母に死別した孫のジェッドを、最後のこの航海に同船させ、立派な船乗りにしようと考えたのであった。11歳の義務教育を終了させねばならぬので、老船長は孫に速成教育をして受験させた。落第点であったが、老船長の心を思いやって、校長ブッシュは少年を合格させた。出港の日、老船長の健康を心配した船主は、学校出の優秀なダン・ランスフォードを一等運転士として乗り組ませた。そのために機嫌を悪くした老船長はダンにつらく当たり、ジェッドの教育をまかせた。少年の物覚えの悪さに驚いたダンは賄い方に回し、キャッチャー・ボートに乗せない。これにくさったジェッドは一心不乱に勉強し、やがてキャッチャー・ボートの舵手となった。南米沖の捕鯨中、切りに包まれてジェッドのボートだけ本船に戻らない。心配したダンは船長に無断でボートを出し救助に向かった。長時間の捜索の末、鯨にボートを破壊されて漂流中のジェッド一行を救って帰船した。老船長はダンが少年等を救ったことを感謝はしたが、船長の命令を無視したことを怒り、ダンの一等運転士の職を解き、継ぎの寄港地で上陸させると宣告した。今はダンを兄の如く敬愛するジェッドは祖父のこの処置を憤慨し、老船長を罵った。船長に反抗した少年は、船のオキテで厳罰を受けた。ダンを解職した老船長は自らキャッチャー・ボートに乗ったため、健康を害し、やはりダンに識を頼み、船室に臥床した。ダンは至急帰港しようとしたが、流水区域に突入したため、船は氷山に乗り上げた。ダンは海中に飛び込み、損傷箇所を修理しようとしたが、船の横揺れのため、船と氷山の間にはさまれ重傷を負って、船を捨てるの外はなくなった。この時、病める老船長はブリッジに現われ、水夫達を指揮して損傷箇所をなおし、船を離氷させることに成功した。老いたりとはいえ、さすがは海の巨人、ベーリング・ジョイの真価に接して、ダンもジェッドも深く心を打たれた。しかしこの作業のため老船長の病気は悪化し、少年のわびを聞き終わると安らかに永眠した。偉大なる船長ベーリング・ジョイの勇姿を頭にきざみ込んだダンとジェッドは、鯨油を満載してベドフォードに入港した。祖父に期待にそむかず、ジェッド・ジョイは今や一人前のたくましい海の男であった。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ヘンリー・ハサウェイ
- 脚色
- ジョン・リー・メイヒン
- サイ・バートレット
- 原作
- サイ・バートレット
- 製作
- ルイス・D・ライトン
- 撮影
- ジョー・マクドナルド
- 音楽
- アルフレッド・ニューマン