一対二

解説

「米国の機密室」「深夜の星」のウィリアム・パウエルが「オペラ・ハット」「夢の並木路」のジーン・アーサーと共に主演する映画で、最近物故した「深夜の星」「ロマンスの街」のスティーブン・ロバーツが監督にあたったもの。原作は「諾?否?」のジェームズ・エドワード・グラントの小説で、「深夜の星」のアンソニー・ヴェイラーが脚色した。助演者は「美人探し」のジェームズ・グリースン、「トップ・ハット」のエリック・ブローア、「小さい親分」のロバート・アームストロング、「僕はカウボーイ」のライラ・リー、「二千万人の恋人」のグラント・ミッチェル、新進のエリン・オブライエン・ムーア、「愛と光」のラルフ・モーガン等で、撮影は「深夜の星」「ポンペイ最後の日(1935)」のJ・ロイ・ハントの担任である。

1936年製作/アメリカ
原題または英題:The Ex-Mrs. Bradford

ストーリー

その日の第六競馬はクラシュリイ号の楽勝の予想であったが、ゴ ル間近で騎手が心臓麻痺で急死し落馬したので、二番人気のウオア・クラウド号が勝って四倍の払い戻しとなった。外科医ブラッド・フォード博士は数日前問題の騎手を診察して心臓は丈夫と見たので、夕刊を見ながら不審に思った。そこへ離婚した彼の前夫人ポーラが来訪した。彼女は探偵小説家で、探偵狂であるために夫の職業を利用し過ぎたので、愛し合いながら離婚したのであった。ポーラは騎手は殺されたと言う。そこに調馬師マイク・ノースが訪れた。マイクは騎手の持ち物から出たという「絶対に沈黙を守れ」と命令した脅迫状を示し、騎手は殺されたのだ、と言い、博士に調査を頼んだ。博士は死骸を調べたが何等の外傷はない。ただ腕にゴム状の物が付着していたので剥がして持ち帰った。その夜、マイク宛の包みが博士宅い配達された。それは12万5000ドルの紙幣であった。しばらくしてマイクから電話で、呼び出しがあったが、博士は偽者と睨み、紙幣を紙にすり替えて、出掛けたと見せて引き返すと、果たして盗賊が来ていた。盗賊は拳銃を発砲して逃亡した。その夜マイクは遂に現われなかった、翌日の晩までも。博士が一切を警察に届けようとした時、何者かが訪れた。扉を開けると、銃殺されたマイクの死骸が転がり込んだ。そこに殺人犯係長のコリガン警部がやって来た。博士は一切を告げた。騎手の腕に付いていたものがジェラチンである事も。警部はこんな奇怪な殺人事件は初めてだ、と言う。騎手は落馬以前に絶命していたのだ。死骸解剖の結果、左心室が萎縮している事が判明した。それは溺死、窒息或いは絞殺の際の特徴なのだ。そして探偵狂のポーラがその日マイクの部屋に立ち寄って、手提げを忘れて来たりしているので、博士もマイク殺しの容疑者として警部に禁足を申し渡された。博士が挙げた容疑者は、馬券屋やのニック・マーテル、博士の看護婦プレンチス嬢、ウオア・クラウド号の持ち主ハッチンスとその妻、ラクシュリィ号の持ち主サマースとその妻、サマースの顧問弁護士ストランドであった。その翌日の競馬には又してもラクシュリィとウォア・クラウドが出走する。博士は競馬場で犯人の尻尾を掴むと言った。競馬はラクシュリィ号1着ウォア・クラウド2着だった。そして一着馬の騎手は入線後落馬したが、博士が与えてあった強心剤のお陰で人事不省になっているだけだった。その夜博士は容疑者全部を自宅に招いた。犯人は誰?

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