偉大なる人生
解説
「女性に捧ぐ」「曳かれゆく男」のアン・ハーディングが主演する20世紀映画社作品で監督は「六百万交響楽」と同じくグレゴリー・ラ・カヴァである。ギルバート・エメリーとダグラス・Z・ドーティーとが協力して書き下ろしたオリジナル・ストーリーを「トム・ソーヤーの冒険(1930)」と同じくサム・ミンツが脚色している。主役を助けて重要な役を勤めて出演するのは「六月十三日の夜」「深夜の紳士」のクレイヴ・ブルック、「相寄る魂」のオットー・クルーガー、それからイタリアの古参の俳優たるチュリオ・カルミナチとこの3人であるが、なおその他「ブロンド・ヴィナス」の子役ディッキー・ムーア、「女秘書の秘密」のベティー・ローフォード、ジャネット・ビーチャー、等も顔を見せている。
1933年製作/アメリカ
原題または英題:Gallant Lady
ストーリー
サリー・ウィンダムはその恋人が大西洋横断飛行を試みて墜死した時には全く途方にくれた。彼女は良家の娘でそれが家を捨てて恋人のもとに走ったのであるからいまさら家へも帰れず、その上に彼女は近く母になる身であった。この彼女の窮状を救ったのがダン・プリチャードであった。ダンは腕のある外科医であたが患者の苦痛を和らげるために取った彼の処置が法に触れて刑に服して以来、身を酒に持ち崩していたのである。ダンはサリーを身2つにさせると同時に彼の友達のフィリップ・ロウレンスに生まれた子供を養子にやらせる様にした。それから彼はサリーを知り合いの室内装飾家マリアのところで働かせることにした。が、そうしている内にダンはサリーを見てから発奮することとなり今度は獣医として身を立てることになった。そして彼はサリーに人知れず恋心を抱く様になったのであるが、サリーはマリアが彼を恋してるのを知って、2人の間を取り持つために自ら進んで商用でイタリアへ2人を残して去って行った。イタリアへ行ったのは礼拝堂の注文に行ったのであるがここで彼女は伯爵マリオから熱烈に恋される身となった。が、彼女はパリで思いがけぬ人にめぐり会った。それはロウレンスに養子にやった我が子ディーディの成長した姿である。で、サリーには再び母の情が甦り、ディーディがニューヨークへ帰る時には彼の船に彼女も同船して彼の傍らを一意離れぬことを願った。一方、伯爵マリオもサリーを追ってこの船に乗ったのであるが、彼はサリーの注意が常にディーディの上にあるのでさすがに消沈した。ニューヨークへ着いてからサリーはフィリップが妻を失って後妻に金持ちのシンシアを迎え様としていること、そしてこのシンシアというのが性質がよくない女であることを知り、どうにかしてシンシアを押し退けて自らがフィリップの妻となり、愛子ディーディを守ろうと考えた。そうした時に相談を受けるのが何時もダンであった。するとダンは自らの恋心を隠して、サリーのために色々と忠言したり、行くべき道を教えたりするのであった。が、そうしているうちに、ディーディを間にして、子供に対する愛がサリーとフィリップとを結び付ける様になった。そして2人の間に次第に本当の恋が芽生えて来た。それにシンシアが2人の間を疑ってフィリップとサリーとを罵ったこと彼、フィリップはシンシアと婚約を取り消したので、いよいよ2人は結び着くことになった。これを傍らで眺めて1人苦い酒を飲んだのはダンである。彼はサリーに、愛子の将来のためとうとうフィリップと結婚するとも決して彼にはディーディが己の本当の子であることを告白するな、と言いおいて自らはまた漂浪の旅に出ていった。で、サリーはディーディの「母」としてフィリップの家へ迎えられていったのである。
スタッフ・キャスト
- 監督
- グレゴリー・ラ・カーバ
- 脚色
- サム・ミンツ
- 原作
- ギルバート・エメリー
- ダグラス・ドティ
- 製作
- ダリル・F・ザナック
- 撮影
- J・ペバレル・マーレイ