医者の秘密
解説
ジェームズ・M・バリー卿原作の戯曲「半時間」を映画化したオール・トーキーで「父と子」に出演したルース・チャッタトン嬢が主演するものである。助演者は「キング・オブ・キングス(1927)」「ソレルとその子」のH・B・ワーナー氏、「夕陽の峠」に出演している英国から新来したジョン・ローダー氏を始め老巧ロバート・エディソン氏、エセル・ウェールス嬢及び子役のナンシ・プライス嬢等で、かつて「悩める花」「クラレンス」「グラムピー」等の名作をものにしたウィリアム・C・デミル氏が改作脚色監督し、「恋愛行進曲」「忘れられた顔(1928)」のJ・ロイ・ハント氏が撮影した。
1929年製作/アメリカ
原題または英題:The Doctor's Secret
ストーリー
ガーリン夫妻はとかく折れ合いが悪く夫婦仲が円満に行かなかった。良人のリチャードは裸一貫で身代をたたき上げた男で、世の中に自分の思い通りにならぬものはないと確信していた。令夫人リリアンは名門の令嬢でヒュウ・ペイトンという恋人があったが、破産に瀕した家運を挽回するためにヒュウの求婚を斥けてにわか貴族の金満家の妻となったのであった。リリアンは良人に対して冷やかだった。それが気に入らぬリチャードは妻を折檻することも稀ではなかった。ヒュウはこのことを深く憤り、彼が土木工事のためにエジプトへ行く折に彼と共に逃げてくれとリリアンに願ったが、リリアンの貴族魂はヒュウの乞いを容れなかった。リチャードは妻に恋人があることを知らなかったが、又しても夫婦喧嘩を始め妻を折檻し罵倒した。そして家出ができるならして見ろと嘲り、8時には23の友人を招いて晩餐会を開くから1分でも遅れてはならぬと命令した。利かぬ気のリリアンは堪えかねて遂にヒュウとエジプト行きを決行する気になりそのむね書き置きをして身につけた宝石類と共に良人の机の抽出しに入れてヒュウの許へ赴いた。その時7時半だったが、リリアンの決心をヒュウはひどく悦び彼女が無一物で来たので衣類を求めに外出した。ところが不幸にもヒュウは自動車に轢殺され、通りがかりの医師プロディーがかくと告げに来た。そしてリリアンがヒュウの妻でないと知った医師は彼女を逐出したので行く所の無くなった彼女はとにかく帰邸し抽出しを開こうとしたが鍵がかかっていた。晩餐の客はレディング夫妻とプロディー医師だった。医師が今の出来事を話している時リリアンが現れた。リチャードは書置きを見つけなかったが宝石類は発見していたので、不図ヒュウの情婦が妻ではないかと疑った。リリアンは良人の眼をかすめて抽出しから書置きを抜取った。医師はリリアンの潔白を知り問題の女が彼女であることを秘密にしたので、リチャードは妻に謝罪し8時が鳴ったので食堂へ皆を案内した。
スタッフ・キャスト
- 脚本
- ウィリアム・C・デミル
- 原作
- J・M・バリー
- 撮影
- J・ロイ・ハント