エド・ウッドのレビュー・感想・評価
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夢追い人
アメリカの映画評論家のメドベド兄弟が著作の批評本の読者投票で最悪の映画監督と称したエド・ウッド、たしかに彼の代表作と言われる「プラン9・フロム・アウタースペース」を観た感想ではなんとも異を唱えにくいのが辛いところです。
予算が無いので何でも一人でこなさざるを得なかったのでしょうが、脚本や監督と言うよりプロレスラーのトー・ジョンソンに目を付けたり、人当たりの良さからはプロデューサー業の方がむいていたかもしれないですね。
「マーズ・アタック」というお馬鹿映画を創ったティム・バートン監督ですからエド・ウッドに好感を持っていたのでしょう、ただお馬鹿映画と茶番は似て非なるもの、本当に面白いお馬鹿映画を創るには並大抵の才能や熱意だけではできません。残念ながら熱意はともかく運と才能では及ばなかったのも事実でしょう。
晩年は低予算映画の脚本やポルノ小説の執筆でなんとか糊口を凌いでいたようです、アルコール依存が祟って54才の若さで逝かれました。最後まで成功の美酒に酔うことはできなかったものの、ハリウッドなど夢のまた夢として諦める人たちも多い中、一時は大好きな映画作りに没頭もでき老優ベラ・ルゴシさんの絶大な信頼や支えてくれる女性にも恵まれていたのですから、あながち不幸な半生ともいえないでしょう。何よりティム・バートン監督がレクイエムのような作品でスポットをあててくれたのですから・・。あちらでも老優や仲間たちと奮闘しているのでしょうか・・、天使たちが映画好きだとよいですね、ご冥福をお祈りいたします。
映画作り愛
アメリカ史上最低の映画監督と言われたエド・ウッドの伝記映画。
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このエド・ウッドさん、B級映画(本人はB級だと思ってないだろうけど)を作り続けて結局芽が出なくて、貧困の中アル中で死んじゃったみたい。
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Netflixオリジナル映画『ルディ・レイ・ムーア』ではB級映画だけどハマって人気が出たパターンだけど、こっちはハマらなかった人。
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それでもルディ・レイ・ムーアとエド・ウッド、やってることは同じなんだよな。強い映画愛と自分が面白いと思うものを周りに左右されずに作り続ける信念。
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ティム・バートンとかタランティーノがこの映画監督のファンだったように、映画がほんとに好きな人が作った映画は絶対誰かには刺さるんだろうな。
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てかジョニデもう今じゃほんとの顔わかんないけど、やっぱ若くて普通の時はかっこいいわ。最近、白塗りか髭もじゃしか見てない気がするもんね。
よかった
昔、レンタルビデオで見て2回目。
エド・ウッドの撮影が非常にやっつけで、以前自主映画を撮っていた時のオレのやり方を思い出すようで見ていてつらい。「それじゃダメだぞ」と思いながら鏡を見るような気分になった。
エドは才能には恵まれなかったけど、恋愛には恵まれていた。彼女たちの苦労が偲ばれるのだが、一緒に夢を見て楽しかったのかもしれない。
エドはベラ・ルゴシに夜中呼び出されて駆け付けるなど、非常に面倒見がよく優しい人だった。ベラがトイレに入ったとたん元気になって戻ってくる場面が面白かった。
映画好きの人向き
セットの墓石が動いても全然気にしなかったりと、完全主義者とはまったく逆の映画監督の話なんだけど、オーソンウェルズや老俳優を尊敬し、スタッフも大切にしていたりと、映画作りに関する情熱が強く感じられる作品でした。
ひたすら純粋でひたすら真っ直ぐ…こんな素敵なことは他にはない!
後世に「史上最低の映画監督」と評されながらもカルト的なファンが多いといわれるエド•ウッド。
本当に最低も最低の映画監督で、もはや映画を冒涜しているとしか思えない一面も。でも、そんな彼がファンが多くて、後世に評価されることがとてもよくわかるし、何よりも、才能やお金、名声よりも情熱がいろんなことを動かすということが、ハリウッドという大きな世界でおこっていたことを思い知るにつけ、自分の背筋がのびる…そんな映画でした。
幼い頃に、女の子が欲しかった母親に女装を強いられ、そのころから女装壁になり、兵役にいくにもパンティーとブラジャーをつけて行ったという変態のエド。
ある時に、性転換の話が映画化されると聞くや否や「これを映画化できるのは自分しかいない」と嘯くエド。往年のドラキュラ俳優のベラ•ルゴシと出会い、彼の出演を餌にスポンサーを得て、自身の監督処女作を完成。
評価は当然散々だし、配給会社もおかんむり。でもエドはこんないい映画が何故に理解されないのか?ばりに、意気揚揚と次回作を練り始める。プロレスラーやらインチキ預言者やらおかしなメンバーをくわえて作り上げた「原子の花嫁」はもう最低の評価で、プレミアムではポップコーンの嵐を浴びるほど。
いや、だって、もう最低ですよね。昼夜•室内外が大胆に入れ替わるシーン構成、ハリボテがハリボテとわかる舞台装置、アザーを取らない早撮りもう全てが学芸会レベルか?と思わざるをえないくらいのひどい映画でした笑
彼女のドロレスは自分がモヘアのニットを着てメガホンを握る姿に愛想を尽かして去り、最愛の友人ベラは麻薬中毒を悪化させながらもお金が尽き、一緒に自殺を迫る始末。
そんな中でもめげずに次回作のためのスポンサー集めにはしる…
そして、友人のベラの死…本当に泣きました。彼の遺作になったショートムービーを繰り返しみるエド…。唯一と言っていいほどの理解者を失い悲しみに暮れる…間も無く、映画を撮る!!
スポンサーを言葉巧みに手に入れて、いよいよかの「プラン9」の登場です。ここでは、スポンサーのわがまま娘やよくわからない宗教の人たちのわがままがひどいひどい。口を出しまくるスポンサーにさすがのエドも辟易…。そこで出会うのがあのオーソンウェルズ。
彼の「夢の為なら戦え、他人の夢をとってどうする」という言葉に触発され、意気揚揚と撮影現場に戻ってくるエドの勇ましさたるや!
スポンサーを無視し、自分の納得の行く映画を撮り切りましたとさ。
でも、この話でやはり好きなのはエドというその人。才能がなくても、お金がなくても、コネがなくても情熱だけで人を事を動かして行くその姿勢って本当に感動するし、天才ではないかもしれないけど、天才以上の才能だと思います。いろいろな困難を乗り越え、明るく常に前向きに映画を作り続け、自分がオーソンウェルズのようになると疑わなかったエドだからこそ、後世の評価を受けたのがとてもよくわかります。
本当によい映画と出会えたな…と10数年前から好きな映画の一つです。
一流のB級映画監督
最低の映画監督として有名な人物を描いた作品。
結局、最初から最後まで映画としては失敗続きで、その過程で監督として上達することもない。
それでも、お金もないのになぜか周りの人間を引き付けて、自身のチームのメンバーが増えていくのは、エドの人間的な魅力に加え、その映画への情熱が本物だったせいだろう。
最後に、本物の映画人オーソン・ウェルズとの交流が描かれている。実際に映画人としての評価は真逆でも、その映画への情熱と思いには互いに通じるものがあり、エドも一流の(B級)映画監督であったという、ティム・バートンの想いが込められているように感じた。
とはいえ、この映画としてはメリハリが足りず、最初から最後までそのまんまという印象も残る。
映画が大成功というハッピーエンディングなら、そもそもエド・ウッドではないのだけど。
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