エド・ウッドのレビュー・感想・評価
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一流のB級映画監督
最低の映画監督として有名な人物を描いた作品。
結局、最初から最後まで映画としては失敗続きで、その過程で監督として上達することもない。
それでも、お金もないのになぜか周りの人間を引き付けて、自身のチームのメンバーが増えていくのは、エドの人間的な魅力に加え、その映画への情熱が本物だったせいだろう。
最後に、本物の映画人オーソン・ウェルズとの交流が描かれている。実際に映画人としての評価は真逆でも、その映画への情熱と思いには互いに通じるものがあり、エドも一流の(B級)映画監督であったという、ティム・バートンの想いが込められているように感じた。
とはいえ、この映画としてはメリハリが足りず、最初から最後までそのまんまという印象も残る。
映画が大成功というハッピーエンディングなら、そもそもエド・ウッドではないのだけど。
適当そうに作っていると見せかけるアンニュイな美学
1994年アメリカ映画。127分。今年27本の作品。史上最低の映画監督と評された実在のエド・ウッドの伝記映画。ちなみにこの「史上最低」は褒め言葉だそう。
内容は;
1,売れない演劇監督エド・ウッドは映画子会社に売り込みをかけ成功する。
2,出演者に抜擢したのはかつてのドラキュラスターだったベル・ルゴーシ。
3、しかし、完成した作品は興行的にも批評的にも大失敗し、ルゴーシは薬漬けで迷惑かけされられっぱなしだった。
Wikipediaで調べるとこのエド・ウッドなる人物の作品を評価しているのはタランティーノや本作の監督ティム・バートンなどで、映画を見つくしたオタクだけが行きつく味わい深さなのだとか。
わたくしは残念ながらエド・ウッドの作品は未見ですが、勝手に想像すると、ティム・バートンのあのなんとも締まりのない演出(これ褒めてる)は彼の影響があるのではと思います。
人の心に残る作品をつくろうなんて気持ちはなく、感動させる演出なんてもってのほか。心の琴線と退屈のはざまに観客の心を置き去りにさせる演出。とにかく、安っぽくなきゃ駄目なのだ。
これって、評価されるかは別にしてすごい才能だと思います。この心に残らない演出が、過剰な演出にうんざりしだしだした映画オタクどもには、なんとも絶妙なツボを抑えてくるのです。
エド・ウッドは亡くなってから評価されたらしく、本作を観てても自分の世界観を追求しつづける本人は本当に幸せだったのかは疑問。そして、本作自体もそれに関してジャッジはしてないと思いました。とりあえず、映画オタクなわたくしとしては、どこにも着陸しない宙ぶらりんな気持ちにさせるこのタッチは病みつきです。
これを書いてて、何の脈絡もなく映画ってすごいなと思いました。
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