愛欲の人魚

解説

「姫百合の花」「あこがれ」と同じくビリー・ダヴ嬢主演映画で、エリノア・グリン女史原作の小説を「情炎の美姫」「故郷の土」のアグネス・クリスティン・ジョンストン女史が脚色し、「ライラック・タイム」「彼の捕えし女」「煩悩」と同じくジョージ・フィッツモーリス氏が監督した特作品である。キャメラは「真紅の海」「妖怪屋敷」のソル・ポリート氏が担任した。ダヴ嬢を助けて「ドラモンド大尉」「勝利者(1925)」のロッド・ラ・ロック氏、「高速度娘」のグウェン・リー嬢、ロバート・シェーブル氏等が出演している。

1929年製作/アメリカ
原題または英題:The Man and the Moment

ストーリー

マイケル・タウンは大金持の独身者だった。女たちは彼にたかった。それ等の異性とふざけちらしては喜んでいるマイケルだった。その日も彼はヨットを出して大振舞いをやり、ポロ・ボート遊びなんて馬鹿騒ぎをしている最中彼が疾駆させているモーター・ボートに突如飛行機が墜落衝突した。それにはジョーン・ウィンスローと言う勇しい娘飛行士が乗っていた。いささか度胆を抜かれたがマイケルは彼女に非常な興味を覚え、ちやほやしてその家まで送り届けた。ジョーンの墜落は新聞にも書かれて評判になり、彼女の後見人は飛行道楽をやめないなら田舎へ追いやると宣告した。一方、マイケルはヴァイオラ・ハトフィールドという歴とした良人ある金髪美人に懸想されてうるさく言寄られて困じ果てていた。そこで頑迷な後見人とあつかましい他所の女房とを避けるために結婚しようという相談が出来たジョーンとマイケルはヨットの上で秘かに結婚式を挙げた。結婚して見るとひとしおジョーンを可愛く思ったマイケルは名ばかりの夫婦でなく正真正銘の結婚生活をしようと言い出したがジョーンは承知しなかった。しかし一度くらいの肘鉄砲に退却するようなマイケルではながた。そして何のかんのと言いくるめて彼はジョーンと共に結婚第一夜をヨットの上で明かした。が翌朝彼が眼を醒ました時にはジョーンは失踪していた。そしてヴァイオラの兄のスキッディーに伴われてヴァイオラの家に奇遇することになったジョーンはマイケルがいくら謝っても彼の許へ帰らなかった。ソレからマイケルは毎日毎晩彼女を追廻したが彼女は巧みに外して他の男たちと戯れた。が遂にマイケルのマイケルの誠実を認め結婚の神聖を思ったジョーンは彼との同棲を承知した。ヴァイオラは2人が秘密結婚したことを知らないので最後の手段としてジョーンに嘘八百を並べてマイケルを思い切るように仕向けた。幻滅を感じたジョーンは死を決して飛行機を飛ばせたが機上にはマイケルも隠れていた。かくて2人は全く愛し合う仲となった。

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