愛と死の間で
劇場公開日:1992年2月8日
解説
殺人者と被害者として愛を成就できずにともに死んだ夫婦が、40年後に転生し自らの死の謎を解くスリラー。近年ヒッチコックタッチの映画は量産されているが、本作はそれのみならずヒッチ独特のガジェットまで大胆に取り入れた奇妙な味の一編。監督・主演に「ヘンリー五世」でオリビエの再来と評されたケネス・ブラナー。美術のティム・ハービー、音楽のパトリック・ドイル、衣裳のフィル・ダルトンも同作品のスタッフである。製作はリンゼイ・ドランとチャールズ・H・マグワイアー、エグゼクティヴ・プロデューサーは「ハバナ」の監督シドニー・ポラック、脚本は弱冠30歳のスコット・フランク、撮影はマシュー・F・レオネッティが担当。特別主演としてロビン・ウィリアムズとキャンベル・スコットが顔を出す。
1991年製作/107分/アメリカ
原題または英題:Dead Again
配給:パラマウント映画=UIP
劇場公開日:1992年2月8日
ストーリー
1949年、新進作曲家ローマン・ストラウス(ケネス・ブラナー)は妻マーガレット(エマ・トンプソン)を鋏で惨殺した罪で死刑を宣告された。執行の日、ローマンは事件を追跡していた新聞記者グレイ・ベーカー(アンディ・ガルシア)を呼び、「妻を愛していた。永遠に愛し続ける」と告げた。40年後、その悪夢を見て絶叫した女性(トンプソン二役)がいた。記憶喪失の彼女は修道院に世話になっていたが、院長は彼女を厄介払いするため、修道院育ちの私立探偵マイク・チャーチ(ブラナー二役)を呼ぶ。マイクは友人の記者ピート(ウェイン・ナイト)に彼女の記事を新聞に載せるよう手配すると、言われた通り彼女を精神病院に連れて行った。だが病院のあまりの醜悪さに気の毒になり自宅に連れて帰る。記事が出ると悪戯電話が相次いだが、それより彼女が夜中にあげる叫び声の方がマイクを驚かせた。ある時、マドソン(デレク・ジャコビ)と名乗る男が現れ、彼女に催眠術をかけ、鋭い反応を引き出した。翌日、マドソンの古美術店で被術者の過去を語らせる催眠療法が始まった。だが、彼女が語り出したのは前世の自分だった。交響楽団の指揮者とピアニストとして出会ったローマンとマーガレット。幸せな結婚。現世の彼女とマイクの間にも恋が芽生える。マイクは好きだった修道女の名を採り、彼女をグレースと名付けた。やがてローマンはマーガレットに近付いてきたクレイに嫉妬を感じ、2人の間に溝ができ始める。その様子を見つめる家政婦インガ(ハンナ・シグラ)と吃音症の息子フランクリン。そして、ローマンとマーガレットのあの夜の惨劇が・・・・。グレースはやがてマイクがローマンの転生した姿だと知り、マドソンの「現世と前世は繁がっている。因果は繰り返される」の言葉にマイクが自分を殺すのではと怯え、判明した自分の家に閉じこもる。美術家の彼女の家は鋏のオブジェで一杯だった。一方、催眠療法を受けたマイクは、実は自分がマーガレットの、そしてグレースはローマンの生まれ変わりだと知る。病院で生き永らえていたグレイの示唆により、事件の鍵を握るインガに会う。彼女の息子はフランクリン・マドソンだった。全てを知ったマイクはグレースの許へ。だが、怯えた彼女はマイクを撃つ。そこへ母を殺したマドソンが現れ、鋏をかざしグレースに迫る。マーガレットを殺したのはローマンではなく、母の彼への愛を察し、憎しみを募らせた幼いマドソンだった。急所が外れていたマイクはマドソンにとびかかり、グレースの銃が火を吹いた。そして、マイクとグレースはしっかりと抱き合うのだった。前世の因縁を越えて。
スタッフ・キャスト
- 監督
- ケネス・ブラナー
- 脚本
- スコット・フランク
- 製作総指揮
- シドニー・ポラック
- 製作
- リンゼイ・ドーラン
- チャールズ・H・マグアイヤー
- 撮影
- マシュー・F・レオネッティ
- 美術
- ティム・ハーヴィ
- 音楽
- パトリック・ドイル
- 編集
- ピーター・E・バーガー
- 衣装デザイン
- フィリス・ダルトン
- 字幕
- 進藤光太
受賞歴
第49回 ゴールデングローブ賞(1992年)
ノミネート
最優秀作曲賞 | パトリック・ドイル |
---|