噫初恋

解説

「アンナ・クリスティ」「巨人ジョーンズ」と同じくユージーン・オニール作の戯曲の映画化で、「猛獣師の子」「支那海」のウォーレス・ビアリーが主演するもの。監督には「アンナ・カレニナ」「私のダイナ」のクラレンス・ブラウンが任じ、脚色は「影無き男(1934)」「愛の隠れ家」とおなじくアルバート・ハケットとフランセス・グッドリッチの脚色チームが当り、カメラは「空の軍隊」「宝島(1934)」のクライド・デ・ヴィナが受け持った。主演のピアリーを助けて「男性No.1」「孤児ダビド物語」のライオネス・バリモア、「世界は還る」のアリーン・マクマホン、「生の創め」のエリック・リンデン「彩られし女性」のセシリア・パーカー、「真夏の夜の夢」のミッキー・ルーニー、「東への道」のスプリング・バイントン、「乙女よ嘆くな」のチャールズ・グレイプウィン及びクランク・アルバートスン等が出演している。

1935年製作/98分/アメリカ
原題または英題:Ah, Wilderness

ストーリー

小さな田舎町の新聞社長ナット・ミラーは、謹厳な然し物判りのいい老紳士であった。ミラー婦人は四人の子供の教育に没頭している。長男アーサーはエール大学の学生、次男リチャードは丁度中学を卒業した少年から青年に移る年頃である。その下に妹ミルドレッドと末弟トミイがある。リチャードは隣家の娘ミュリエルを若い情熱の対象として恋していた。彼は夢の様な理想に憶れ、読書が好きで詩人スウィンバーンを尊敬し、また漠然と資本家を呪つている年頃であった。ミュリエルの父ミコーマーは新聞のお得意広告主であるが、リチャードが娘に恋文を送って誘惑したと怒込んで来たので、ナットと口論の結果広告を出さぬことになった。ミラー婦人エシイの弟シドと、主人の妹リリイは共にミラー家に寄食している身で、二人は恋し合っていたがシドが大酒飲みなのでリリイは結婚を承知しない。そのうちナットはシドに他の町で職を探してやったので、彼は飲酒を止めてそこで働き、真面目になってリリイと結婚すると約束して出発した。リチャードの恋文を見つかったミュリエルは父に強いられて、再び彼と口を利かないという手紙をリチャードに送ったので、彼は自棄を起こして事々に父母に反抗する様な態度をとる。折角職を得たシドはやはり酒でしくじって失職し、しょんぼり帰って来たが、言いそびれて休暇だと言って了う。その夜リチャードは兄の悪友ウィントンに誘われて、いかがわしい酒場へ行く。そこで飲めぬ酒をしたたかあおり、ベルという旅廻りの莫連女を相手に夜更けまで遊んでいる。家では家族が心配して待っていると、真夜中になって泥酔したリチャードが帰って来た。若い子供が失恋から酒を飲み、怪しい女と遊んだことを知った父親は、次の日息子を物和らかに訓戒する。若い熱情がさせたほんの一寸したことに過ぎなかったし、父は息子の清癖で正しい性質を知り、息子も父の物分かりの良い愛情に敬服する。そして一方ミュリエルの父も、娘とリチャードの仲が清い愛情で結ばれていることを知り、リリイも新聞社で働くことになったシドの愛を受け入れたのである。

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