42 世界を変えた男のレビュー・感想・評価
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Take me out to the ball game. 人種差別に立ち向かう姿勢には感動するが、スポーツ映画としての出来はポテンヒット⚾️
メジャーリーグ初の黒人選手ジャッキー・ロビンソンがいかにして人種差別と闘ったのかを描いた、史実を基にした野球ドラマ。
主人公ジャッキー・ロビンソンを演じるのは名優チャドウィック・ボーズマン。本作出演を機に映画スターとして知られるようになる。
ジャッキーを起用したブルックリン・ドジャースの会長、ブランチ・リッキーを演じるのは『スター・ウォーズ』シリーズや『インディ・ジョーンズ』シリーズの、レジェンド俳優ハリソン・フォード。
全く野球に興味がない自分のような人間でも、伝説の選手ジャッキー・ロビンソンについては聞いたことがある。史上初の黒人メジャーリーガーであり、彼がデビューした4月15日は毎年すべての選手が彼の背番号「42」を背負いマウンドに立つ。この42という背番号は、唯一の全球団共通の永久欠番として特別な輝きを放ち続けている。…まぁ実際は黒人初のメジャーリーガーはジャッキーではなくモーゼス・フリート・ウォーカー(1884年にデビュー)という人らしいんだけど。
ちなみに、アジア人初のメジャーリーガーは南海ホークスからサンフランシスコ・ジャイアンツへと野球留学をした村上雅則(1964年にメジャーデビュー)。一応ハリー・キングマンという中国生まれの選手が1914年にデビューしているが、彼の両親は西洋人宣教師だったようなのでここではノーカンとする。
村上さんも人種差別にあうことが多々あったようだが、それでもアメリカでは結構楽しくやっていたとのこと。こういう話を聞くと、同じカラードとはいえやはり黒人に対する風当たりは黄色人種の比ではなかったということがわかります。
本作は伝説の野球選手を扱った伝記映画だが主眼は人種差別との闘いの方に置かれており、野球自体は割と二の次という感じ。ドジャースが1947年のシーズンをどのように戦ったのかとか、どういう戦績だったのかとか、そういうことはあんまり詳しく描かれていない。
具体的に言うと、リーグ優勝したとのことだがそれとジャッキー加入との因果関係が正直よくわからん。凄く強い選手が1人加入したからといってチームが強くなるというわけでもないだろうし、映画の描写からすると監督の降板や人種間対立など、チームワークに乱れも生まれていたようだし。人種問題を乗り越え一枚岩となったドジャース、という像をはっきりと見せていないので、なんだか味が薄い…。
日本の野球マンガのような、個性的なチームメイトやライバルは不在。せっかくのチームものなんだから、もっと登場人物にキャラクター性を持たせて華やかにすべきではないだろうか。
また、個性がない上みんな白人かつ同じユニフォームを着ているので、はっきり言ってジャッキー以外の選手の見分けがつかない。最後の方でジャッキーと肩を組んでた人とフィリーズのレイシスト監督に食ってかかった人は別人なの?
チームスポーツものはキャラクター間の掛け合いが大事。多少やりすぎでも良いから、タカ・タナカくらいユニークな人物を登場させてジャッキーと友情を育むなり敵対するなりさせていればエンタメ的な見どころを生み出す事が出来ていたかも。必殺の魔球を登場させろとは言わないが、もう少し外連味や抜けの良さが欲しかった。
人種差別を描いた映画としての評価は置いておくとして、スポーツを描いた映画としてはもう一つ。アウトとは言わないが、ポテンヒットとか内野ゴロくらいの感じかな。
お世辞にも面白かったとはいえない映画だったが、それでも醜悪な人種差別に逃げることなく立ち向かうジャッキーの姿勢には大いに感動させられた。「やり返さない勇気」という、キング牧師の非暴力不服従を思い起こさせる無言の抗議が観客の心を揺さぶります。
また本作はアンガーマネジメントを描いた作品であるとも言えると思います。怒りに身を任せることなく自らを律する事。その事の美学が一貫して描かれており、いかに感情に身を任せるという行為が幼稚なものなのか、それをジャッキーとの比較ではっきりと明示している点が良い。時にはブチ切れることも大切だとは思うのですが、それは時と場合と対象をしっかりと考えること。本作を観ていれば、ウィル・スミスもあんなことになっていなかったかも…。
特筆すべきは役者の演技。
『ブラックパンサー』(2018)でお馴染みとなった夭折の名優チャドウィック・ボーズマン。本作は彼の映画初主演作なのだが、そうとは思えない堂々とした圧巻の演技力で、見事ジャッキー・ロビンソンの苦悩と栄光を演じ切っておりました。本作を観て、マーベルはチャドウィック・ボーズマンにもっと自由に演技をさせるべきだったとつくづく思った。ブラックパンサーのあの無味無臭さは一体なんだったんだ?
なんにせよ、今後もっと活躍の場を広げる事が出来たはずの、力のある役者だったことを再確認…。亡くなってしまったのが本当に悔やまれる😢
チャドウィック・ボーズマンもさることながら、最も驚かされたのはブランチ・リッキーを演じたハリソン・フォード!
歳をとってからの彼はなんか覇気がないというか、いつも渋い顔をしながらブツクサ言ってるお爺さんになってしまっていて「おいおい大丈夫かジジイ!?」なんて心配していた。『スター・ウォーズ』(2015)も『ブレードランナー』(2017)も、全然やる気ないのが手に取るようにわかる😅
そんな爺さんになってしまった彼だが、本作の演技は見事!纏う雰囲気から佇まいまで、全くいつものハリソン・フォードっぽさがない。「なんかこの俳優さん見たことあるけど誰だったっけ…?まさかハリソン・フォードじゃないだろうし…」なんて、観ながら本気で思ってましたもん。ハリソンの今回の演技はオスカーレベル。『クリード チャンプを継ぐ男』(2015)のスタローンくらいには評価されるべき、彼のキャリアを代表するような名演技だったと思う✨…まぁ普段からもっと真剣にやれってことでもあるんだけどね。
ボーズマンとハリソン。2人の名優による掛け合いが生み出すドラマが本作最大の魅力。彼らの演技合戦にはきっと胸を熱くさせられるはず。
父親の差別を子供が真似る。そういう悪しき伝承が本作でも描かれていた。近年の日本を取り巻く人種差別的憎悪にはほとほと嫌気が差しているのだが、こういう思想を持っているのは大体がいい歳したオヤジ。こういう奴らが若い世代にその憎悪を伝播させている。
ショウヘイオオタニの活躍に、そしてそれ以上にイッペイミズハラのクレイジーさにより日本国内での注目度が増しているドジャース。人種差別に関心のないただの大谷ファンにこそ本作を鑑賞し、色々と考えて欲しい。
悲しみと感動で何度も涙した
差別に屈しない姿勢。我慢する勇気。差別されることの悔しさをわからないと言い切る潔さ。
ただ箭弓が好きなだけ。それが英雄になったり世間を変えるきっかけになったり、勇気を与えたり、人を変えたり。
精神力の強さなのか、純粋さなのかわからないけど、悔しさと感動をもらった映画。
チームの力
アメリカの大リーグには疎いが楽しめた。
なぜジャッキーだったのか、履歴書?の山から選ばれた理由が謎だったけど。
生活圏での差別はもちろん、試合中の差別的な言葉は耳を塞ぎたくなる。
でも、それがあって最初はジャッキーを受け入れられなかったチームメイトの気持ちが徐々に変わっていく。皮肉なことだけど、チームの力って偉大な、と。
GMがなぜあそこまで?という疑問もあったが、ジャッキーの忍耐力と同じくらいリッキーの熱意があったからこそだと思った。
70年以上前と比べたら今はだいぶマシにはなったとは思うけど、完全になくなったわけではないことは、ちょいちょいある事件でも明らか。
なくなる日は来るのだろうか?
世界を変えるということ
Amazon Prime Videoで2回目の鑑賞(吹替,レンタル)。
メジャーリーグ初の黒人選手、ジャッキー・ロビンソンの半生を描いた伝記映画。黒人差別がまだまだ色濃い時代に、このような出来事があっただなんて信じられない。成し遂げられた偉業に、初見時も今回も涙が止まりませんでした。
ロビンソンの不屈の精神は、はじめは懐疑的だったチームメイトの心を動かし、多くの理解者を生み出して、周囲の意識を変えていきました。不屈の精神と云っても、度重なる差別や理不尽な迫害で挫けそうになる瞬間が何度もありました。
その度に再び立ち上がることが出来たのは、家族やリッチーなどの心強い味方が支え続けてくれたから。だからこそ成し得た偉業だったのかもしれないなと思いました。
パイオニアの物語には、必ず胸を熱くさせられます。
世界を変えることは容易でないからこそ、その偉大さは尊くて、永遠に語り継がれ、誰からも称えられる存在となる。
勇気を持って、最後まで諦めなければ、どんな困難にも立ち向かえるし、どんなことだって成し遂げられるのかも。
[追悼]
追悼、チャドウィック・ボーズマンさん。
今では「ブラックパンサー」でのティ・チャラ/ブラックパンサー役の印象が強いですが、初めて彼を知ったのは本作を観た時でした。本作と云い、「ブラックパンサー」と云い、彼の出演作は強いテーマ性を持っていて、観る者に語り掛けて来る作品が殆どだったなと改めて思いました。それらは確実に、世界を変えるための一助となったはず。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
※修正(2024/05/14)
涙腺が緩み放しでした。
これはいろんな人に薦めたくなる良い作品ですね。
こういうお話に弱いので、もうずっと涙腺が弛みっ放しでした(/´△`\)
レイチェルの優しさ溢れる言動や野次を飛ばし続けるチャップマン(チャップマンの執拗な罵声がチームメイトに思い遣りの心を生んだとすると、チャップマンは必要悪だったのかもしれませんね)に詰め寄るスタンキー等お気に入りのシーンはたくさんありましたが、特にピーウィーがロビンソンの肩を抱くシーンなんて号泣モノですよね。
勿論ジャッキー・ロビンソンの忍耐強さや不屈の精神にも感服しましたが、個人的には切っ掛けを作りロビンソンを根気よくバックアップし続けたハリソン・フォード演じるブランチ・リッキーにとても魅力を感じました。
行動力や決断力もさることながら、人の気持ちを思いやれる人物でしたし、何といってもその言葉が胸に響きました。
正しく理想的な上司ですよね。
特に“やりかえさない勇気”なんて今まで一度も考えた事なかっただけに感銘しました。
ただ欲を言わせてもらば、尺の関係か、メジャーリーグ一年目の出来事だけで、試合内容もダイジェスト的にしか描かれておらず、スポーツドラマではなくヒューマンドラマよりに作られているので(その分、野球をあまり知らなくてもストーリーはわかるのですが)ジャッキー・ロビンソンがいかに優れた野球選手かが伝わってこなかったのが残念に思えました。
ジャッキー・ロビンソンのその後も観てみたかったですし、個人的には2部構成にして欲しかったです。
この先も民族や宗教の違いによる差別が無くなる事は無いでしょうが、せめて未だに白人優位主義が根強く残っているスポーツ界だけからでも差別が無くなると良いですよね。
自立したアフリカンアメリカンの勇姿。
差別に苦しむアフリカンアメリカン、彼らに差別を加えるホワイトアメリカン、また彼らを差別から救うために手を差し伸べるホワイトアメリカンを描くことで、
一見『人種差別ダメ、人種差別主義者は悪だ』と伝えようとしているように見えて
差別に苦しむ"可哀想な"アフリカンアメリカンを時代を跨いで描き続け、そんな彼らを"ホワイトアメリカンが"助ける。という人種差別を温存する構造を持つ物語は多い。(実話を映画化したもよは、どのみち変えようのない事実なのは言うまでもないが、実話モデルの映画には敢えて史実と違った展開を見せるものもある。)
この作品はそれらとは違う。たしかにジャッキーにチャンスを与えたのはリッキーである。だがしかし、ジャッキーはリッキーに出会う以前より差別に対する不信感を抱き、それを自らの意見として発することのできる強き人物だったのに加えて、 彼は"彼自身"の力で成功していく。決して『白人のおかげで成功できた』という風に描かれてはいないのである。確実にジャッキー自身の努力、才能とそれらを適切に発揮するための忍耐力が彼を成功に導いていった。
この映画のテーマは"自制心(自分に飲み込まれないこと)"だろうか(野球の試合よりもジャッキーという人物のドラマに焦点が当てられるため、試合のシーンは予告や紹介文を読んだ時に思っていたほど詳細には描かれない)。物語全体を通してジャッキーは向けられる差別の声に対して、怒りに飲み込まれそうになりながら自制心を保とうとする。もちろん序盤は怒りに任せて行動に移してしまうこともあり、何度か我を失いそうになるのだが、物語が進みなんどもそうした場面を経験するにつれて彼は自分の怒りをコントロールするようになり、怒りに任せて行動することの恐ろしさ・愚かさを知っていく。
激しい怒りを覚えた時、一時の感情に任せて暴力に訴えれば事態がさらに悪化する可能性がある。それは冷静になって考えれば誰にだって想像の付くことだが、どうしてもカッとなってしまった時多くの人が"我を忘れてしまう"ものだ。だがそんな時こそ、自分を問いただし、飼いならすべきなのである。自分が何者で、なぜ、誰(何)のためそこにいて、なにを成さねばならないのか。それを見失うことの恐ろしさと、見失わないことの重要性を、何度も怒りと自制心の間を葛藤するジャッキーと共に、私達観客が物語を追うことで気付いていく。
本作においては、"怒り"に対する自制心が描かれたが、私は自制心が私達に"恐怖"に立ち向かう勇気を与えてくれると考えている。
私は編入受験生時代、2年間日々努力を重ねたが、辛くて何度も挫けそうになったし、本番を迎えた時も恐怖の余り逃げ出したくなった。だがそういう時、自分がなぜそこに居て、何のために戦わねばならないのかを絶えず問いただすことで、自分を見失わずに進んで来ることができた。受験真っ只中の学生達には、ぜひ自分を見失わずに前へと進んでほしい。進んだ道が正しかったのかどうかなど、進んでみなければわからないから、そんなこと気にしないで、自分を見失わず勇気を持って踏み出してほしい。
そして最後に、口数の少ない主人公であるジャッキーを演じたチャドウィック・ボーズマンの"目の演技"に拍手を送りたい。口数が少ない人物を演じるからこそ、彼の"目で語る演技"がより輝いたのではないかと私は感じている。
ハリソン・フォードの時に厳格・冷静で、時に暖かい表情も(やはりハン・ソロを思い出してしまい笑)心が温まったものだ。
唯一のメジャー全球団で永久欠番「42」
黒人初のメジャーリーガー、ジャッキーロビンソンを題材にしたもの。
「世界を変えた男」というか「変えた人たち」かなぁ、ジャッキーはもちろんジャッキーの回りも素晴らしい。
相手監督に抗議したりみんなで42番着ようって言ったり。
ロビンソンの壮絶な選手生活
バスケ好きな僕がこの映画を観たいと思ったのは、黒人のスポーツ界進出という点に興味を持ったから。
映画を観て、以前まで名前すら知らなかったロビンソンに尊敬の心を少し持った。
個人的には『やり返さない勇気』という言葉がすごく頭に残り、それ以降日常でもたまに思い出すことがある。
実話だからこその、ありきたりなエンディングにならないあたり良かった。
42
This is a story of Jackie Robinson. He was a first black Major League Baseball player in the modern period. This story is after World War Two. At that time South Of America had Black discrimination law. So black people had been discriminated by government in many case. White people and black people were separated. And White people always stood advantages. Jackie Robinson raised up in that time. He was born in Georgia He had four older brother and he was the youngest child. But unfortunately his father had gone to somewhere when he was six months. So his mother engaged to rise up her children. Jackie Robinson had played baseball since he was young. He was good at any sports. He played baseball at Kansas Monarchs the team belonged to Negro league. When it came to playing baseball, nobody even came close to him. One day he accepted an offer to play as a member of Dodgers. This happening was unprecedented. Because At that period, black people had been got but handling. One day Branch Rickety squat Jackie Robinson. And Rickety said “I want a player who's got the guts not to fight back.” Actually Jackie Robinson was sometime lose his control. He couldn't stood for black discrimination. But he decided to have the guts not to fight back. The challenge of Jackie Robinson to play baseball at Major League was started from here. When it came to black person started to play baseball at Major League, a lot of people oppose it not only audience but also his teammates. But he endured. He had never fought back. And he recorded the highest performance. People admitted him gradually as he left his good performance. He became a hero. Finally his work was admitted by everyone even though he was black. And his work influenced political thinking too. Through this movie, it tells us the importance of having the guts not to fight back. Of course now that black discrimination is thought bat thing. But at that times of the movie, black discrimination was a common thing. Sometimes black peoples tried to fight back. But it was returned by rights. But Jackie Robinson proved his insist by having guts not to fight back. This sprites is very strong. I feel something deep in my mind when I watched the movie. I thought this movie was just a baseball movie before I watch. But after I watched the movie, I noticed that the movie is not just a baseball movie. This is the best movie I have ever watched. Why don't you try it soon?
史実
ジャッキーロビソンの伝記的映画。
彼の体験を綺麗になぞった映画なのである意味で過剰な起承転結はない。
野球に興味があれば、彼のキャリアを知ることができるので非常に面白いのだが、野球に興味のない人にとっては特に盛り上がりに欠ける美談として受け止められても致し方ないかなという内容。
テーマは信念を通すってところでしょうか。
本物の“ガッツ“とは?
「法律に逆らえば、時に“称賛”される。
慣習に背けば、社会から排斥される。」
1945年春、ナチスドイツが降伏。
アメリカ国内では市民の暮らしも日常を取り戻しつつあり、戦地に赴いていた野球のスター選手たちも続々と復員していた。
この時、ブルックリン・ドジャース社長のブランチ・リッキーは、文字通り、“慣習に背こう”としていた。
その当時、メジャーリーグ16球団に登録されていた選手は400人。
400人すべてが白人だった。
そういう時代にリッキーは、黒人選手と契約しようとしていたのだ。
メジャーリーグ最初の黒人選手になるべく、白羽の矢を立てられたのは、黒人だけのリーグで活躍していたジャッキー・ロビンソンだった。
チームメート、相手チーム、ファン、周囲からの激しい反発が予想される中、リッキーはジャッキーにこう告げる。
「“やり返さない勇気”(ガッツ)を持つ選手になれ」
ジャッキーはこう答えた。
「もし僕にユニフォームをくれるなら、もし僕に背番号をくれるなら、勇気で応えます。」
1945年夏、ジャッキーはまずドジャース傘下の3Aチーム、モントリオール・ロイヤルズと契約する。
そして、早速キャンプ中から(今では考えられないような)嫌がらせ、反発、脅迫の洗礼を受ける。
映画では、リッキーが黒人選手との契約を周囲に宣言する1945年から、ジャッキーがメジャーリーグデビューを果たす1947年のシーズンが描かれる。
エピソードの数々は事実に基づいて描かれているが、これはほんの一部に過ぎず、間違いなく、ここに描かれた以上の嫌がらせ、反発、脅迫があったに違いない。
それに対し、リッキーは全面的にジャッキーをバックアップした。
そして、ジャッキーは“やり返さないガッツ”を持って全力で耐えた。
現在のメジャーリーグは黒人選手の存在なしでは成立しない。
しかし、今から70年前のブランチ・リッキーの”慣習に背くガッツ”が、ジャッキー・ロビンソンの“やり返さないガッツ”を生み、それがチームメイト、相手チーム、ファン、やがては社会を変える大きな一歩になった。
その道筋が、ジャッキーに続いた黒人選手、中南米出身選手、そして現在の日本人メジャーリーガーの活躍に繋がっている。
「野球は民主主義の確かな証しであり、ボックススコアはその象徴だ。」
冒頭のナレーションに、こんな一節があるが、私が熱心な野球ファンでもないのに、グランドに選手が散らばり、ウォーミングアップのキャッチボールを始めるのを見るだけで、なんとなく胸が一杯になり、幸せな気持ちになるのは、やはり野球が、野球が出来ること、野球観戦が出来ることが、平和の象徴だからだと思う。
ジャッキーが本拠地エベッツ・フィールドでメジャーデビューを飾った“その日”。
開催される試合に出場する選手すべてが“背番号42”をつけてプレーする。
今年も“その日”、
4月15日がもうすぐやって来る。
言葉が染みる
去年あたりにメジャーの全球団の選手が42番のユニフォームを着る日があるていうのをニュースで知って気になっていた。映画の中でロビンソンに対する差別とか誹謗中傷があったけど、実際は映画では描かれてないだけでもっと酷かったんだと思う。確かピッツバーグていう球団に行った奴が悔しそうな顔するのが最高だった。 リッチーの部下の眼鏡の人がロビンソンがバカにされた敵チームの監督に怒っていたシーンがけっこう好きかな。
だが、やがて時はめぐり、もう無視したくなかった。
映画「42 世界を変えた男」(ブライアン・ヘルゲランド監督)から。
まだ、黒人の人種差別が堂々とまかり通っていた時代、
差別反対に対する動きは、リンカーンだけでなく、
いろいろな分野で起こっていたことに、再確認した。
この物語の主人公は、メジャーリーグ最初の黒人選手、
背番号42・ジャッキー・ロビンソンであることは間違いないが、
私は、ハリソン・フォードが演じた「ブランチ・リッキー」こそ、
真の主人公ではないか、とメモを整理した。
ブルックリン・ドジャース(現ロサンゼルス・ドジャース)の
ジェネラル・マネージャーであった彼が、野球界を変えたも言える。
当時の慣習だった「人種差別」に背き、なぜ黒人にチャンスを与えのか、
その理由を、淡々と語るシーンが、私のお気に入りとなった。
野球を愛していた彼の学生時代の野球界を振り返り、こう呟く。
「愛する野球界の内側は、不公平で腐っていたが、私は無視した。
だが、やがて時はめぐり、もう無視したくなかった。
君が・・また、野球を愛させてくれた、ありがとう。」
学生時代は、自分のことしか考えられず、差別を受け入れるしかなかったが、
今、GMという立場になってみて、やはり当時の「人種差別」に後悔が残る。
それが「無視したくなかった」という台詞に置き換わったのだろう。
自分の生き様として、どうしても貫きたかったことを行動に移した。
そして、その期待に応え、結果を残した背番号「42」。
「毎年、4月15日、メジャーリーグでは、ロビンソンの偉業を称え、
全選手が『背番号42』をつける。」という。
彼がメジャーデビューした日に、彼の勇気と誇りを忘れないために。
「背番号42は、唯一全球団の永久欠番である」という事実は、
アメリカらしい素敵なルールだな、と関心した。
果たして、日本野球界に出来るだろうか・・期待したいところである。
予告編
確かに映画は面白かった。
黒人差別にしても、最初は野球を楽しみにしてた少年も周りの大人達が差別用語を言い戸惑っていたが最後には少年も大人の真似をして差別用語を叫ぶ。
こんな差別をしてたのか‥と考えさせられる部分もあったりしたが、予告編の方が面白かった。
野球の場面がすごくよかった
硬球を木製バットで叩く、あの固いものと固いものがぶつかる感じがすごく迫力があった。また、ピッチャーの投球もすごく速くて重そうでメジャーリーグな感じがした。
深刻な差別とに毅然と戦う主人公が、一点の曇りもないナイスガイで、彼じゃなかったら黒人のメジャー加入はもっと遅れていたのではないだろうか。しかし、ナイスガイぶりに若干乗れない気持ちもあった。クレイジーで下衆な面も見たかった。そんな彼が己と闘って差別とも戦うみたいな話ならもっと感動できたと思った。しかし、差別はかなり深刻なのでこのくらいでちょうどよかったのかもしれない。
白人のチームメイトが脅迫状を受け取り、ハリソンフォードの部屋を訪れる場面で、以前にもらった脅迫状の束を出す場面がよかった。日本ではネットでちょっとした書き込みですぐ運動会を中止したりしてあまりに弱すぎる。見習ってほしい。ネットで書き込みするような連中は腰抜けに決まっているので、そんなのに歩調を合わせてどうするんだと思う。本当にやる男は、加藤みたいにさりげない書き込みをする。
野球の場面がすごくよくて、しかもたっぷりあってよかった。野球映画としてはベストの一本ではないだろうか。
皆が敵ではない
今では考えられないような差別が生々しく描かれていて、その分ジャッキーがメジャーリーグでプレーすることの意義が伝わってくる。
苦難はたくさんあるが、周りの人すべてが罵倒してくるわけではない。球場のすべての客がブーイングをするわけではない。
そういった面もしっかり描かれていて、とても良かった。
ハリソンフォードはオーナーに相応しい演技と体格だった。
プレーで倍返し。
試写会にて鑑賞。
近代のメジャーリーグにおいて、初の黒人メジャーリーガーと
して名を馳せたJ・ロビンソンと、
当時の会長、B・リッキーが成し遂げた功績が描かれている。
米国の暗部といえる人種差別問題、それはスポーツ界にも
しっかりと浸透しており、当時、ニグロリーグで頭角を現した
彼にブランチが目を付けなければ、おそらくジャッキーが
メジャーで陽の目を見ることなど一生なかったんじゃないか。
素晴らしい救いの神ともいえるブランチの言う一言がすごい。
今や日本ではバカみたいに「倍返し」なんてのが流行ってるが、
相手にやり返すことで利を生むなんてことはまずあり得ない。
これを「やり返さない勇気」と断じて、彼に示したのがブランチ。
「やり返さないという勇気を持て」と頬を打ったブランチに対し、
「頬ならもう一つあります」と応え、差し出したいうジャッキー。
この話だけでも感涙モノだが、実体験はそんな生温いものでは
なかったはずだ。作品で描かれている黒人差別のあれこれは、
ジャッキーにとってもっとリアルで残酷なものだったに違いない。
よく耐えて、よく成績を残した、と彼を誉め称えるに十分な話。
監督もチームメイトもファンも、総てが逆風に思えた入団から、
本当に、少しずつ、少しずつ、彼は信頼を勝ち取っていく。
スポーツをするのに肌の色など関係ない、と当たり前のことを
真っ向から言えなかった時代が確かにあったことを実感する。
主人公、ジャッキーを演じるC・ボーズマンは活き活きと動き、
彼を支える会長、ブランチをH・フォードが朗々と演じている。
あのハリソン君も御歳71歳、今作では今まで見たことないような
恰幅の良い重厚な役を演じているのだが、これがまた巧い。
彼が今作を牽引しているといっていいくらい、役にハマっている。
そんな彼の人柄がジャッキーを支えたといっても過言ではない。
最初から最後まで正攻法で描かれた真っ直ぐな物語。
もっとプレーの場面が見たかったと思う反面、テーマを外さない
的確な構成と彼らが於かれた状況が詳しく描かれ、野球オンチの
私のような人間ですら、しっかり理解できるように作られている。
(観る人を選ばない友好的な作品。当時の映画館はどうだったかな)
背番号42の謎は人類の暗黒の歴史を変えた物語
とてもよかったです。
大リーグで全球団が永久欠番にしている背番号42…そこに秘められた敬意の念の深さを改めて知りました。
また、時代とはいえ、悪意のない特権意識の強さは現代にもあるいじめとそれに追随する村意識にもにていて、嫌悪感を覚えましたが、それに真っ向から立ち向かうジャッキーの姿に感動しました。
ストーリー自体はとてもよかったですが、映画自体は少し単調だったかなぁという印象でした。
最初にドジャースのオーナーがジャッキーと契約する時に語った
『やり返さない勇気』
これを一貫して守り抜くジャッキーに少しずつ見方が増えていく中でも、シンシナシティの試合でピーウィーがジャッキーの肩を抱いて観客に見せつけるシーン。ジャッキーにはとても心強かったと思います…泣けました。
また、そのシーンの前のジャッキーにいつも通りヤジを飛ばす観客の中に親のヤジに従ってヤジを飛ばしてた子供がピーウィーの行動をみて、複雑な表情をするシーンも良かったです。
大多数の社会の悪意に立ち向かう勇気、それを貫けばいつか仲間が増えて社会が変わる、そんなことを教わった気がします。
ただ、ジャッキーはきっと野球が好きで、野球がしたかっただけなんだよなぁ…という事をあとからおもった時に、好きな事をするために戦い続けなくてはならないジャッキーの姿に、なんとも深く考えさせられるなぁと思いました。
ジャッキーを支える多くの物の中で、やはりレイチェルの存在が際立ってました。ものすごいチャーミングで聡明で忍耐力もあって、まさに伴侶の鏡かなぁ…と。
ジャッキーを取り巻く環境に辟易としながらも、とても素晴らしいエンディングの待つ素敵な映画でした!
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