「感動。なはずだけど。」永遠の0 bruさんの映画レビュー(感想・評価)
感動。なはずだけど。
映画館で鑑賞して、
そのあと原作を読んで、
もう一度映画館で鑑賞しました。
岡田准一が主演で、原作も話題作で、
「風立ちぬ」を観ていたので、ゼロ戦の話だし、観てみたいな、と思い映画館へ。
正直、一回目の鑑賞中、
後半からどんどん飽きてしまいました。
映像も素敵だし、飛行機と青い空と広い海はきれいだし、
話だって進んでいる…はずなのに、なんか飽きるし、つまらない。
別に映画に刺激を求めているわけでもないから、
刺激がないからつまらない…というわけでもないのですが。
話は、現代の場面と過去の場面を交互に描き出していきます。
同時進行で、岡田くんと三浦春馬どちらがというより、ダブル主演なのでは?と思うほどでした。
とってもわかりやすく、単純な構造。
現代の、司法浪人を何年も繰り返す、だらだらな若者、
過去の、家族を愛するために必死に戦っていた若者、
この二つが並行していて、
自分の血のつながった祖父の話、戦争体験者の話を聞いて、自分の中の何かが変わっていく…というような。
確かに、場面場面で泣かせようとしていることは、伝わってきたし、
心が揺さぶられた場面もいくつかあった。
しかし、それだけであり、
なんだかしっくりこなかった。
一つ一つに焦点を当てると、納得いくのに、
それを並べられ、2時間3時間と続けられると、
抑揚がなくてか、飽きる。
そして、最後も「はい!感動させますよ~!」というような演出の数々に思えて、逆に気持ちが冷めてしまったような気がする。
しかし、岡田くんが強烈に印象に残り、頭を離れなかった。
なんだか軽々しくないし、人生の厚みを背負っているような雰囲気。
一歩間違えると、白々しく聞こえてしまいそうな、単刀直入なせりふも、ずっしりくる。
そして最後の最後の表情。
目を見開いて、瞬きも忘れて見入ってしまいました。
そして、ふっと流れ込んでくる、サザンの「蛍」。
「ん?」と思う部分はたくさんあったにも関わらず、
余韻と、なんだったのだろう?という疑問、が頭の中で渦巻き、
岡田君のあの演技を少しでも深く感じたい、
永遠の0って結局なんの話なの?という思いで原作を読みました。
原作を読んで、少しすっきりした部分がありました。
特定の場面ではないのですが、
原作あってこその「宮部」であり、それがあるからこそ、単なる戦争映画でもなく、やすっちい家族の愛の物語でもなくなるような気がしました。
そしてその感覚を確認したくなって、もう一度映画館へ。
素直に見ることができました。
そして私が苦手だな、と思った場面は特定されてきたので、
割り切ってみることができました。
映画だけでは、なんだか薄っぺらいような、完成しきれないようなもやもやが残る作品だというのが、正直な感想です。
原作を読んでから、
ただの「お涙ちょうだい」の映画ではないのかな、とも思えました。
岡田君の迫力、存在感、言葉、
エンドロールの「蛍」の心地よさという感想です