劇場公開日 2013年12月21日

「原作を読んでから鑑賞すると、さらにいいですよ。」永遠の0 が〜がさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0原作を読んでから鑑賞すると、さらにいいですよ。

2014年1月14日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

私は原作を二回読みました。二度目も不覚ながら、涙を流しました。それが映像化されると聞き心待ちにしておりました。キチッと映像化できるか不安もありましたが。もう見事という他ありません。

この作品は進歩的文化人(日教組)に毒された、現代の日本人になにかしらの化学反応を起こすかもしれない。これほど悲しい、しかし純粋な愛情はない。この深い情念が理解できない人は、日本人にはいないはず。そう信じたい。

"情けは人の為ならず"を地で行く宮部久蔵に、今の日本はどう映っているか、私も含め恥ずかしいのではと思ってしまいます。

日本人ならば進歩的文化人の書いた歴史ではなく、真実の歴史を語るべき。
天皇陛下、心ある軍幹部、理論的に必敗を唱えた学者、若手官僚らの言論を逆賊として、封殺したマスゴミ。また、敗戦後は自分たちがやったことはほっかむりし、自らが望んでしたことではないのに、特攻隊員をテロリストよばわりしたマスゴミの横暴さを原作は見事に描いていた。開戦を煽ったのは、マスゴミであった冷徹な事実。映画では、そこがスッポリ抜け落ちている。非常に惜しい。こここそが、現代(近代も含む)の日本の病巣なのに。新聞社がいっぱいスポンサーに名を連ねていたが、反省からなのか、それとも別の目的からなのかな?

この映画がイマイチわからない方は、鹿児島県の知覧特攻平和会館(陸軍ですが)に行かれることをお勧めします。特攻隊員一人として望んて出撃したのではないことがよくわかります。本当に悲惨。涙、涙です。さらに、手紙の字が綺麗なこと。余計、涙を誘います。日本人が絶対に忘れてはいけない場所です。

宮部機が無傷だったことに疑問を持たれている方がいらっしゃいますが、開戦当時零式は世界最優秀で他を隔絶する格闘性能を実現し、搭乗員も世界最優秀だったため、弾が当たらないので、重くなる防御を捨てたと聞いています。設計者堀越さんは"戦時では優位は二年と持たないとして、次期戦闘機に着手していたそうですが"帝国海軍がホンの一瞬、無敵だったのも当たり前です。そのピカイチの腕を見せた場面がありましたよね。左ひねり込み(坂井三郎の得意技、一部には坂井さんの他にもたくさんできたらしいですが)、まさに神業です。また、VT信管の起爆を避けるための、海面ギリギリの高度での飛行。紅の豚にも出てきましたが、最高の飛行技術です。これだったら弾が当たらないのもうなづけます。
これらの場面を映像化しただけでも見る価値は十分にあります。

さて、大本営ですが、日露戦争時の軍部と比べてこれが同じ民族かと、司馬遼太郎氏も"坂の上の雲"でも嘆いておられました。同じ敗戦国のナチスドイツと比較しても、合理的精神のかけらも見えません。

アルデンヌの特攻作戦では、無敵の戦車(最高の兵器)を与えたドイツ陸軍の合理的思考。かたや、日本は型遅れの零戦で"神国"を騙り、十死零生の作戦を正当化した軍部の"言霊信仰"。軍令部が言霊信仰では困るのです。超リアリストでなければならないのに。

餓島(ガダルカナル島)奪回作戦などは、空母を含む機動部隊が壊滅した段階で、実施不可能。零式の航続能力だけに頼った"机上の空論"。この無謀な作戦でどれだけ多くの熟練搭乗員を失ったか。これだけでもこの作戦を企画した参謀は切腹ものです。餓島はあきらめなくてはならなかった。それを諦める戦略的、合理的的思考の欠如した秀才官僚参謀。彼らには臨機応変という言葉は理解されてたのか?(ドメル将軍懐かしい。)勉強は出来るが、現場を知らない高級官僚に支配されたどこかの国の現在に似ていますね。

このように合理的精神を持ち得ない日本人(それが美徳でもあるのですが)は、戦争という最もリアリティ、かつ合理的思考が求められる政治手段は使うべきではありません。民族的に無理なんです。せいぜい、本土防衛が限度です。

どの国の戦争も悲劇が付き物だが、太平洋戦争はあまりにも無残。非戦闘員まで巻き込んだのは、人種差別的発想しかできない欧米も悪いが、そうなることが想像できたにも拘らず、戦争に突き進ませたマスコミ、一部の官僚軍人に怒りを禁じ得ません。それに人生を翻弄された、無謀だと感じても必死に戦い抜いた無名の戦士の方々に合掌。皆さんの思いは今の日本で実現できていますか?

が〜が