「身近かな所に英雄がいたりする!」永遠の0 星織音さんの映画レビュー(感想・評価)
身近かな所に英雄がいたりする!
やはり事前に、映画に使われたゼロ戦の模型を宇佐市平和資料館まで見に行っていて良かった。
映画の中で、間近に見た物が出て来ると感動する。
館内は年寄りばかりだった。
年を取ると、映画を観て泣きたいようだ。
自分も少し泣いていた。
年寄りなんだろうか?
内容については、ネタバレになるが。
主人公は、現代に生きる三浦春馬さん演じる青年だ。
主人公の(本当の)祖父(岡田准一さん)は、最初は、妻子のために、「必ず、生きて帰ってくる。死んでも、帰ってくる」と誓っていたが、
先に死んでいく護衛機や戦闘機のパイロット仲間達の犠牲の上に、生きながらえる事が耐えられなくなり、特攻を志願する。
特攻志願=死だ。
九死に一生ではなく、十死に0生となる。
しかし必ず、生きて帰って来ると妻に誓って、最期に浮かんだ策とは?
自分が死んでも、家に帰る方法とは?
推理小説かと思った。
それは、『他者に託すこと』だった。
出撃直前に、そのチャンスが偶然訪れた。
自分のゼロ戦のエンジンの不調を見抜いた彼は、機を部下と取り替えてもらい、部下が不時着して生き残る事を願った。
そして、「妻子を頼む」と短い手紙を機に残した。
主人公の義理の祖父(夏八木勲さん)が、(特攻で死んだ)本当の祖父の、その部下の特攻隊員だったとは。
主人公は、義理の祖父を本当の祖父だと思っていたし、元特攻隊員だと知らなかった。
ふだん、我々が、いかに祖父に関心を持っていないか実感させられた。
戦争未亡人となっていた祖母と、祖父の部下の元特攻隊員が結婚したのだ。
戦争体験者は、みんな、似たようなそれぞれの体験をしている。
言わないだけで、戦争なんて、何も起こらなかったような顔をして。
戦争体験者が日本からいなくなる前に伝えたい映画だと感じた。
追伸
特攻隊の生き残りの人に、金持ちもいれば、貧乏人もいる。
また、いろんな職業の人がいる。
時代によって、英雄像も変わる。
妻子がいるだけでも幸せ者だが、残された妻子は辛い。