「悪くはないのだが・・・」永遠の0 kita-kituneさんの映画レビュー(感想・評価)
悪くはないのだが・・・
劇画、原作の順で見て読んだ。
映画の中だけで全編を盛り込むのは不可能なためか、やや薄味な感も。十分泣ける内容ではあるが・・・
出来によってはあと3~4回劇場鑑賞しようかとも思ったが・・・あと1回くらいかな?
いくつか気になった点
・宮部は音や振動でエンジンの調子が分かるほどのパイロットというのが具体的な前フリとしてあれば、52型から21型に乗り換えた経緯に重みが増したのに。
・姉がチャラい感じで物書きに見えない(祖父の家から帰る時のバイバイは何だか軽すぎ)。
・弟、司法試験に頑張ろうという姿で終わらせてほしかった。安易なお涙ちょうだい?これがなくても十分、泣けるのに。
・某全国紙批判の件が同級生同士の会話で終わってしまって、結構重要なところなのに、残念な演出。ここを表現できないのが弱いところか。ある意味、現代版の検閲か?殺りく兵器なんて言葉、弟から出てこないでしょ、普通。元特攻隊員の言葉だからこそ実感がこもるのに。
・取材した零戦乗りの回想、もうちょっと深くやってほしかった。前段、腕をなくした長谷川の件が残念だった。単なる頑固おやじで終わった感が。その後のエピソードで精算したかったのだろうが・・・長谷川の悲哀も入れて欲しかった。
・ミッドウェイ海戦、端折りすぎ?雷撃が長く続いて完全奇襲で急降下爆撃なのは語り部に語らせて補足すべきだったような・・・
・CGは全般的にうまかったと思うが・・・空母赤城の航行シーンに重量感がなさそうな。
・航空隊の初着艦シーンでの飛行甲板上の整備兵、へらへらしすぎでは?また、着艦した戦闘機、さっさと下に降ろさないと、前側に固めて置いたまま次の着艦をやらせるのか不思議・・・着艦に失敗したら全部の飛行機が使い物にならなくなる危険が。斜め甲板のある終戦間際の米空母と違うのに。
・大石が撃墜されたとき・・・原作はシコルスキーとなっていたので本来はマスタングじゃなくコルセアのはず・・・変える必要があったのか?(些末なことだが)
・「特攻隊は自爆テロではない」と言う点は、もうちょっと強調してもよかった。過去があってこその現代、未来なのに。作戦の外道を賛美する必要はないが、いかに戦ったかと言う点は明確にすべき。劇画では一番に泣けるところだったのだが・・・
・ラスト、映画的にはおそらく正解なのだろうが・・・特攻賛美と言うわけではなく、宮部はやっぱり凄かったんだなという所が欲しかった。
・挿入歌は・・・「海ゆかば」が一番泣けますけどね・・・商業的にしょうがないか・・・悪くはなかったが。
追記
・12/25、2回目を鑑賞。やはり3回目はないかな・・・
・原作で某新聞社批判をやっておいて協賛にその新聞社が名を連ねているのはどうなんでしょう・・・
・30数年前の戦記ブーム世代なので原作を純粋に小説として評価できるかと言うと、やや疑問があることを付け加えておきます(エピソードに当事者の手記の引用が多そうな)。
・凄腕のパイロットであるはずの宮部、景浦との模擬空戦でしか実力を見せていないのが残念。まさか、本当に逃げ回っていたわけでもなかろうに・・・(本当に逃げていたら銃殺刑もの)大石に助けられるエピソード、宮部自身も敵機を撃墜していたはず。