「想いを受け継ぎ、繋いでいく。」永遠の0 しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
想いを受け継ぎ、繋いでいく。
Blu-rayで6回目の鑑賞(2019/08/10)。
原作を読んだ後、祖父と一緒に映画館で観ました。
宮部久蔵(岡田准一)の抱く、「生きて必ず帰る」と云う想いの強さ…。臆病者と罵られながらも、死んでお国のために殉ずることが美徳であるという考えに支配された軍隊で、その想いを貫き通したことこそ、本物の勇気だなと思いました。
しかし、一旦戦場から離れて、教官と云う立場になったことで、考えが揺らいでしまう…。未来ある若者たちを十死零生の特攻へ送り出してしまったと云う後悔と自責の念に駆られ、まるで廃人のようになってしまいました。
生き残って家族の元へ帰りたい。だが、自分が見送った彼らの想いはどうなるのか…。果たしてこのまま生きていてもいいのか…。彼の苦悩を想像すると胸が痛みました。
そんな宮部を救ってくれたのが、教え子のひとり、大石賢一郎(染谷将太)でした。「もし生き残ることが出来たら、人の役に立つ仕事がしたい」と願う純粋さに触れ、特攻出撃が決まった際の日本の将来を想う心持ちを知った時、この人ならば自分の想いを託せるかもしれないと踏んだのだと思いました。
自分が生きて帰ることよりも、想いを繋ぐことを選んだ…
実際に宮部のような境遇にならないと真の意味では理解出来ない感情なのかもしれませんが、人間が抱く想いは、それを受け取った者が次の世代へ繋ぐことで連綿と受け継がれていき、新たな命や世界をつくり出す原動力となって、その奥底に永遠に生き続けるのであろう、と思いました。
これこそがタイトルである「永遠の0」―最も尊き円環なのだと理解出来た時、目から鱗、そして滂沱の涙が…
壮絶な時代を経たからこそ、今の日常があり、私たちが生きるこの時間がある…。先人たちの想いを受け取った私たちが、次代へとそれを繋いでいかなければならない…