「逆説のリブート版。」ロボコップ ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
逆説のリブート版。
'87年のヴァーホーヴェン版を何回観ただろうという年代、
懐かしい…デトロイトだし…今じゃ無人ロボット偵察機なんて
当たり前に配備されるような時代になったけど、
こんなのを30年近く前に描いていたんだからスゴイよなぁ。
オリジナルに於いては面白い描写も多々あるんだけど、
とにかく主人公の警官マーフィが冒頭で殺されちゃう場面、
あそこで絶句しましたからね。あまりに凄惨で…。
今じゃ、ヴァーホーヴェンだからねぇ、なんて言えるけど、
当時の世界観としては恐ろしく生々しく感じられたのだ。
ところで今回のロボコップは黒いのねぇ?何でかしら、と
思っていたんだけど(まぁカッコいいかどうかは好みとして)
なるほど、ちゃんと色にも意味があったんですねぇ。
私はもちろん元の色の方が好きだけど、今回の監督はよく
考えてるのね~そのあたり。あれだけのヒット作をリブート
するということは、色にも変化のさせ甲斐があるってことか。
記憶に関しても、徐々に想い出す⇔その後で消されるという、
彼の精神変化に家族を大々的に絡めて(奥さんの出番も多い)
人間がロボット化されていくとどうなるのか、を挙列化した
巧い作りになっている。単純な話が複雑化され、現代の脅威
をよく炙り出しているな~と思った。で、その脅威の象徴が
MGMのライオンの声をかき消したサミュエルの存在なんだけど
もう観てるだけで怖すぎて笑える。何なんだろうね、この人。
ゲイリーやマイケルも非常にいい役作りをしていて、彼らの
醸し出す様々な脅威と実践がロボコップを何度も変化させる。
まだ感情の残っている人間に何てことするのよ!と怒り心頭に
なるが、悪を越えた悪が蔓延るのは内部、といった腐敗層の
描き方に新味はない。結局はマーフィが自身で自分を取り戻す
力が周囲を驚かせるという展開に落ち着き、あとは家族万歳。
アクション面でのやり過ぎ感はないものの、ブラック面では
オリジナルを超える全面押しかな^^;オリジナルテーマもチラリ。
一番辛かったのはまだ人間であるマーフィのままで、ロボットに
されたところ。即座に「殺してくれ」と言った彼の言葉は重い。
意外に家族は好意的で良かったけど、その人間性に説得力を
持たせるための前半のグダグダ感(すぐロボコップにならない)に
「まだかしら」と思った自分はなんて嫌な奴なんだと思ったりして。
ちなみに唇がセクシーですよ、J・キナマン。
(オリジナルのピストルくるくる、ああいう活用も欲しかったなぁ)