「ロボットファン垂涎の近未来SF」ロボコップ pullusさんの映画レビュー(感想・評価)
ロボットファン垂涎の近未来SF
1987年に上映された『ロボコップ』のリブート版である本作品が3月14日より公開される。
続編ではないので、もちろん前作の『ロボコップ』を見たことがないという人でも十分に楽しめる作品だ。
まずなんと言っても主人公マーフィ(ジョエル・キナマン)が装着(正確には脳みそと右手と心臓以外はスーツ)するロボットスーツがかっこいい。以前シルバーだったスーツはエレガントでシックなブラックへとカラーチェンジ。そして『アイアンマン』や『パシフィック・リム』などのプロダクトデザインで有名な“レガシーエフェクツ”が、今回、このスーツのデザインを手がけただけあり、ロボットファン垂涎の作品となっている。
もちろん、デザインに見合ったスペックも決してファンの期待を裏切らない。戦闘シーンの度に興奮させてくれる。
さらに面白かったのは、音楽の使い方である。初期『ロボコップ』の音楽はやはり流れるたびに鳥肌が立つほどテンションが上がるが、それ以外にもうまい音楽の取り入れ方をしている。ロボットスーツの試験中に流れる音楽は、なんと渋いシンガーの歌声のジャズ。違和感があるけれども新しい、それこそ、人間とロボットが組み合わさったような、不思議な感覚である。
映像だけでなく音響にまでこだわったリブート版『ロボコップ』に仕上がっている。
ロボット作りや映像技術にもこだわっているが、今回、脚本に携わったスタッフも豪華である。初期『ロボコップ』やテレビシリーズにも携わったジョシュア・ゼトゥマーとエドワード・マイヤーが脚本を手がけている。長年ロボット系の作品にかかわり続けていた彼らだからこそ、今回の脚本にはSFならではのドラマが盛り込まれている。ロボットVS人間の作品でもなければ、『アイアンマン』のようにスーツを着脱できる主人公でもない。自分の脳と心臓と右手以外はすべてロボットになってしまった主人公の苦悩は他の作品では類を見ないだろう。
脚本、演出、そしてロボットスーツに酔いしれることのできる、近未来SF作品である。