「良作。だがリメイクとすると・・・」ロボコップ Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
良作。だがリメイクとすると・・・
SFアクションの金字塔として君臨する本作をリメイクするとなるとかなりの重圧だろう。製作元も腹を括って望んだに違いない。
オリジナル版がヒットした理由は何なのか。それには映画産業の急成長と、当時の流行というものが絡んでいる。それが必ずしも現在も通用するかと言われれば難しい時もあるものだ。作品の高品質さがこれでもかと現れる現代において、過去作のリメイクという人気の再燃を狙う進め方はもしかしたら逆行しているのかもしれない。評価や興行面で今ひとつだった本作もそれによるものなのだろうか。
本作で特筆すべきはビジュアルの強化にあるだろう。シルバーボディだったオリジナル版と売って代わり、オールブラックのスーツ、高性能のオートバイというSFらしさが溢れんばかりに感じられる。若干アイアンマンと被る気もするが、空を飛ばないだけ良いだろう。このシリーズにはCGを屈指したロボットSFの様な派手さは兼ね揃えていない。ロボットとして、また1人の人間として生きる主人公がそのあり方を問うドラマなのである。ヒーローとしての活躍の中で葛藤する弱い部分を見せることが多くの映画ファンから支持されている理由の1つでもあるのだ。本作でも流石にそのプロットは変更せずに描いている。だが一方で、オリジナル版の監督がポール・ヴァーホーヴェンだった事は忘れてはいけない。彼の作品と言えば、非常にバイオレンス全開であり、エロにも抜かりない、血生臭い作品なのである。リメイク化において当然それが引き継がれる事はなく、物凄く綺麗な作品となっているのだ。仕方が無い事だが、あの溢れ出るB級テイストが映画ファンを湧かせたのではないか。そこは良くも悪くもリメイク化作品の立ち位置だろう。だがこの路線で上手くシリーズ化すればオリジナル版シリーズよりも良い形で終われるかも知れない。