「勇気の支え」キャプテン・フィリップス ブレイブさんの映画レビュー(感想・評価)
勇気の支え
主人公の静かなる勇気には感銘を受けました。
その勇気は決して彼個人の資質だけに拠るものではなく、家族や仲間への想いが支えとなっているのは明白です。
そしてもうひとつ、重要なのは国家への信頼です。
日本人は愛国心などと言うと、とかく軍国主義とかネガティブな連想をしてしまいますが、そういった事ではなく、人が母国を愛し信頼する代わりに国も国民の生命と財産と権利を守るという、一種の対等な契約関係が国際社会には当然のように存在します。
そして、この事件におけるアメリカはその責務を忠実に果たします。
たった一人の船長を救うため、イージス艦や強襲揚陸艦そして最精鋭の特殊部隊を惜しみなく投入し、全力で救出作戦を展開するのです。
正しく国民の信頼と期待に応えてくれるのです。
自分の生還を待っている家族がいるというのも素晴らしい心の支えになりますが、自分は見捨てられなず必ず救出しようとしてくれる祖国があるというのも勇気の支えとして掛け替えの無いものです。
振り返ってみて、これが日本ならどうでしょうか?
日本人船長が海外で拉致されても自衛隊は急行してくれるでしょうか?
マスコミは自衛隊の国外での武力行使を違憲だと非難し、野党は派兵を散々じゃました挙句船長が死んだら内閣に責任を押し付け、内閣は遺憾の意を表明する、そんなところじゃないでしょうか。
アメリカという国の軍事は確かに独善的で攻撃的なのは否定しませんが、それでも国民の信頼と期待に応えようとする姿勢は評価できると思います。
因みに、以前ソマリアで海賊ファンドなるものが発行されるというニュースがあった時、「それなら戦争ファンドも作られるんじゃないの」という声があがりましたが、それに対して私はこう答えました「戦争ファンドなんて昔からあるし誰でも買えるよ。通常はアメリカ国債って呼ばれてるけどね」
奇しくもこの映画は、海賊ファンドと戦争ファンドの対決でもあるんですね。