「諦めるか、続けるか。」ボクたちの交換日記 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
諦めるか、続けるか。
某TV番組にゲスト出演した小出恵介の、なんだアレは!?
と思うほどの落ち着きのなさに驚嘆したばかりだったので(爆)
あー芸人さんの役か、似合うかも?と素直に感情移入できた。
神経質で、いちいち周囲の反応を気にしてしまうあたりなどは
いかにも~(汗)という感じで、なんとなく理解できる。
おそらくお笑い芸人などをやる人って、そういうアンテナを
ビンビンに張ってる人でないと難しいのだろうな、と思える。
自身も芸人である内村光良が描いた世界は温かくシビアだった。
主演二人のお笑い演技はともかく(いや、面白かったですけど)
演技の面では文句のつけどころがない、さすがに若手の中で
懸命に歩んできた実力が、今作の演技面でも実証されている。
それと同じように、
お笑いをやる芸人さんたちも血の滲むような努力を重ねつつ
ネタを磨き、いつかブレイクするぞ!と頑張っているのだろう。
たった一芸で話題になり、ほんの一年で消えゆく人もいれば、
この二人長いよねー^^;と思うほど息の長いコンビ芸人もいる。
夢を叶えて、有名になって、生活面で安泰を迎えている人など
おそらくほんの一握りなんだろうことも分かる。
今話題の有吉のように、人生の山と谷が極端に激しい人もいる。
しかしどうであれ、自分の夢を追いながら、
それに従事していられる間は(苦しくても)自身に後悔はない。
やりたくもない辛い仕事に身を置いてまで金銭を稼ぐのは、
とにかく生活のためであって、出来ることなら人間は誰だって、
自分のやりたいことを仕事にしたいし、それが簡単に叶うなら
皆が好きな仕事をしながら、一端の稼ぎを得られているはずだ。
必ずしも、やりたい仕事=金になる仕事。ではない。
やはり「結婚」などをして、(特に男性陣は)家族を養うために
苦渋の決断をして、ついには夢を諦める人が多い。
今作で描かれる女性達の様に、そんな彼らを必死に支え続ける
家族や奥さんは多いが、それでも芽が出なくて、
生活のために諦めました…という人を、何人も見たことがある。
それは傍目から見れば非常に残念なことなんだけど、
本人がどんな思いでそれを決断したのかを考えたら、
慰めの言葉すら出てこない、故に致し方ないことなのである。
田中に対して甲本が下した決断は、辛いけど間違っていない。
甲本にはそれに値する幸せが待っていたから、恨みっこなしだ。
自分の才能の限界は赤の他人(できれば厳しい)に見極められる
のが一番正しいのだと思う。あくまでビジネスが絡む業界では
売れる、売れない、が博打の如く大枚を靡かせる。
それを見抜く力こそ、そういう立場に与えられた役なのだから。
芸人さんの世界ではこんな風にコンビを組まされたり、
解散してまた別の人とコンビを組まされたりが、多いのだろう。
話題のコンビが昔は○人でした。なんていうのもよく耳にする。
子供の頃によく冗談を言っては周囲を笑わせ、クラスの人気者
だった男の子が、そのまま有名人になったケースの方が少ない。
才能というのは厄介なものである、いつ開花するかが分からない。
加えてどんな才能が自分の中にあるかすら、自分じゃ分からない。
難しい選択でありながら、生きるために何らかを選びとる私達は
あの時こうしていれば違った人生、とか
ひょっとしたら私だってこうなっていたかも、なんて
色々考えてしまうことがあるが、今更どうなるものでもない。
人生がそうならなかったのは、自分がそうしなかったからなのだ。
学生の頃、他クラスの女の子と交換日記をやっていた。
その日の出来事や、自作の詩なんかを書いていた記憶があるが、
卒業してしばらく経ったら、もうその子とは逢わなくなった。
今頃どうしているんだろう…なんて、ふと懐かしく思えてきた。
(夢が叶ったのは、叶えさせてくれる人がいたから。でもあるよね)