「痛快娯楽作ではない」ザ・クリミナル 合衆国の陰謀 うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
痛快娯楽作ではない
米合衆国大統領が狙撃された。
大統領暗殺未遂事件が起き、ベネズエラの犯行と断定した米軍は軍事介入を行う。
CIAのエージェントであるエリカが、ベネズエラの関与を否定するレポートを送っていたにも関わらずである。
母親であり、新聞記者であるレイチェルは、スクールバスで子供に同乗し、髪の毛を引っ張られたと主張する女の子アリソンに味方する。
息子のティミーは「告げ口だ!告げ口はいけないんだよ!」と大騒ぎするが、「髪の毛を引っ張られることを、我慢する必要もない」と息子を諌める。
「席を変わりなさい」と大人の対応をする幼稚園の先生。
レイチェルの隣に座ったアリソンは、自分のママ、エリカがベネズエラに旅行した話を始め、それが合衆国政府の陰謀につながる大スキャンダルであることに気づくレイチェル。
翌日、レイチェルの記事が載ったことで、マスコミは政府を攻撃し始め、レイチェルはエリカの正体を暴露した情報源を明かすよう強要される。
拘置所に不当に拘束され、レイチェルは言論の自由を主張し真っ向から対立する。
やがて、彼女は信義と引き換えにいろんなモノを失っていく。
彼女に勝利の日は来るのか。
もっと、ハラハラドキドキのサスペンススリラーを期待していたのですが、とてもリアルな法廷劇でした。
政府の陰謀をめぐって、不幸の連鎖が広がっていく様がていねいに描いてあり、ケイト・ベッキンセールはレイチェル役を熱演。共演陣も粒ぞろいで迫真の演技です。
子役もいい。
デビッド・シュワイマー(フレンズ)、ノア・ワイリー(ER緊急救命室)など、大人気のドラマで主役を張った俳優が、目立つこともなく自然体で出演していてキャスティングも満足です。
ただ、レイチェルが大きく報われることのない、救いのないラストがいただけませんでした。
映画としては、残念ながら、平凡な出来ですが、巧妙で、皮肉たっぷりに、とても真面目に、細部までこだわって描いてあります。
逆に、これほどの出来栄えの映画が、公開当時にそれほど話題にならなかったのが不思議に思いました。
2014.6.10