「男のプライドと夢・女の夢と現実・ 間で悩む子供がいじらしい!」スマイル、アゲイン Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
男のプライドと夢・女の夢と現実・ 間で悩む子供がいじらしい!
主人公ジョージは、今では怪我をして引退をしたが、現役時代はベッカム様とも試合を競っていた元花形サッカー選手。
そんな華やかな世界にいたジョージも今は落ちぶれ果て、残るのは多額の借金と孤独な一人暮らしの日々。天国から地獄への転落の人生とは正に彼の人生そのものだ。
しかし、この映画が描くように、本当に彼だけが悪者なのだろうか?彼だけがアダルトチルドレンで、身勝手で無責任な結婚生活を送っていた駄目な夫であり、駄目親父なのだろうか?
本当に妻のステイシーには、責任はゼロだったのか?
映画を観ながら、そんな疑問に胸が押し潰れる想いに駆られた私は、ジョージ同様、無責任なアダルトチルドレンと言う事なのか?
確かに、言われてみれば自分の身勝手な性格は認めるが、この映画が淡々と描いて見せるお話は、むしろ不器用にしか生きられない男の哀しさと、サッカー一筋の優秀な選手であった彼の真面目な姿なのだと思うのだ。
不合格元夫ジョージの失敗人生ぶりと言うよりも、男女の結婚観の相違をコミカルに描き出している点が、傍から見ると多いに笑えるのだが、しかし日常の小さな出来事がとてもリアルな面も多々有って、実に身近で、面白い映画だった。
そして私は最近やたら涙もろくなった為なのか、この手の映画を観ると胸がジ~ンと締め付けられ居たたまれなくなるものだ。
そして、何だか納得が出来ない想いを持つ。これは自分が男だからなのか?女性がこの映画を観たら、妻のステイシーに同情するのだろうか?
人は誰でも、自分の人生をより良いものにしようと、心の中では願って止まない。
そして、その想いを実現しようと、日々それなりに、自分では微力でも、努めて生活をしているのだ。しかし、現実と言う奴は、そう簡単に、自分の理想の生活環境をパッと目の前に表してくれない。
誤解を招き、時には不本意ながら、この映画のジョージとステイシーや、長男のルイス達家族の様に離婚となり、一家離散を余儀なくされる。ここで一番傷付き哀しい思いをするのは、幼い息子のルイスだ。そして、ジョージもステイシーも誰も特をする人間などいないのだ。そんな彼ら元家族の再生への道のりを丁寧に積み重ねて描き出す本作には、地味で、平凡な作りでも、何だか心動かされるものがあった。
考えてみれば、それは脇を固める俳優陣の確かな演技が映画をより深くリアルに見せている為なのかもしれない。キャサリン・ゼタ・ジョーンズや、デニス・クエイドそして、タランティーノ映画では欠かせない個性派のユマ・サーマンとみんな芸達者揃いだ。そして息子ルイス役のノア・ロマックスはこの作品で映画デビューとなるらしいが、繊細な子供の心理を巧く演じていた。これからアイドルスターになれるのか、期待が多いに持てた。