劇場公開日 2013年3月9日

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「SCP×俯瞰体験型スリラー」キャビン NandSさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0SCP×俯瞰体験型スリラー

2023年4月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

笑える

興奮

知的

前提として
・ドリュー・ゴダード監督の他作品は未視聴
・ジョス・ウェドン脚本だと、『アベンジャーズ』や『ジャスティス・リーグ』、『トイ・ストーリー』を視聴済

いや、楽しかったー!

人の過ち、世界の調和。 そんなことどうでもいい!!みたいな感じでモンスターが暴れ回る。今まで人に、存在や扱いを虐げられてきたSCPたちが暴れ出した感じで良い。悲哀を背負うのがゾンビ一家というところにメタ的な面白さがある。
モンスターにはいろんな小ネタが挟んであるのも深み。『ヘルレイザー』とか分かりやすいかも。

こんなお話なのに全キャラに人間味があるのがまた良い。
かなり悪趣味な仕事なのに、職員の立場とか考えるとなんか責める気になれないのがまたニクイ。
個人的にツボなのは死ぬ直前まで「北口は侵入禁止だ」とかいう職員。あー、いるいる、こういうやつ。緊急事態なのにお堅いこと言ってるやつ。

もちろん主人公5人にそれぞれ個性があるし、見せ場もあるけど死亡フラグは焦ることなく回収するし、死なないフラグもしっかり回収していく。
クリス・ヘムズワーズは一味違うね。
でも俺、ハッパの兄ちゃん(フラン・クランツ)も好きだぜ。

ホラー演出を製作者側・フィクション的な感覚で観ていられる。ホラーあるあるも随所に盛り込まれていてこれが心地よい。実家感ある。

全エレベーター開放パーティ後の血祭り。血まみれエレベーター前。よく作り上げた!! 美術、CG、デザイナー全てに拍手!!!
あの地獄絵図は最高です!!!

なぜか日本にリスペクトを持ってくれてるアメリカの業務形態がめちゃくちゃ日本に似ているの良かったな。
手続きを絶対に挟まないといけない状況とか、真面目に働いているように見えて裏で色々遊んでたりとか。抜け目が多いのもまた面白いところ。これ別にアメリカに限った話じゃないぞ?

OPが完全に映画なのだけど、これも一つの世界終焉シナリオなのかな、という見方ができる。
要は全体が物語として俯瞰できる構造になってるのだ。
そっか、こういう状況だったらこう考えるよね!
だから職員はこう動くよね!
みたいな。
あそこの職場、給料いいんだろうなぁ。行きたくはないけど。あー、でも実験対象になるよりマシか?

そんなこんなでホラー映画やSCPが好きな人ならのめりこめること間違いなしな作品。

NandS