「クソ映画、バカ映画、実験作?野心作?」キャビン うそつきカモメさんの映画レビュー(感想・評価)
クソ映画、バカ映画、実験作?野心作?
その昔「シベリア超特急」なんて、およそ映画の体を成していないお遊び映画があった。カルトムービー好きがこぞって持ち上げ、そそのかされた好事家たちは手に取るや、どう評価したものか、なんとか持ち上げようと、ああでもないこうでもないと、核心を突く言葉を使わなかったものだ。(クソ映画)
この作品、いや作品とも呼べないか、もはや。
山小屋で一夜を明かす、若い男女を惨劇が襲うという、古典的な展開をひねって、もうひとひねりして、こねくり回して面白くしよう、と言うならいざ知らず、どう考えてもツジツマも、ハッソウノユニークも、フクセンノカイシュウも、くそもあったもんじゃない。
時間のムダ。映画マニア同士で、「いかにくだらないか」を論じ合うにはいい題材かも知れないが、普通に楽しく映画を見たい人には全くおすすめできない。
悪いことは言わないので、見ていない人はやめときなさい。
以下は、自分への戒めとして、今後、ひどい作品だったことを忘れないために、どのようにダメだったかを書き記しておく。
一番は、何といっても「作戦本部」の存在だろう。
彼らの仕事は、魔物の管理。
まるで、アメフトのプレーを見るように、監視カメラを通じて若者たちの行動を逐一観察している。その目的は、山小屋に泊まりに来た若者たちが、自分たちの管理する魔物の餌食になることをアシストすること。
「ハンガーゲーム」を彷彿とする設定だが、殺し合いを見物するのではなく、あくまでも間接的に、若い命が狙われやすいようにアシストすること。そのために、飲み物にアドレナリンを刺激する薬物を混ぜたり、ヘアダイの薬剤にバカになるクスリを混ぜたり、森の空気に、エロいフェロモンを漂わせたりする。その効果で、主人公たちは裸でおっぱじめたりするのだが、モニタールームでも、のぞき趣味の延長上の盛り上がり方で、それを咎めるように、ひとりだけ正義感の強いまともなスタッフも、結局、何の役割を果たすことなくあっけない最期を遂げる。
若者たちは、全部で5人、一人ずつゾンビ一家に殺されていくが、そのきっかけは、「入ってはいけない」地下室に入り、「読んではいけない」日記を読み、「唱えてはいけない」呪文によってゾンビ一家が復活したから。
その様子を、モニタールームでは、賭けの対象にしていたので大盛り上がりで、見ている。そのスタッフたちの人数は、ざっと見ても100人は下らない。
これだけの組織が、いったいどこの機関に属し、どうやって活動資金を得て、どういう理念で活動しているのか、一切の説明はないが、どうやら若者たちが死んでいくのを喜んでいるのは間違いない。そして、直接手を下さないのも厳格に守られているルールのようである。
5人のうちの一人が、偶然その「ほころび」に気づき、一気にストーリー上の大逆転に至るのかというヤマ場を迎えた時に、彼ら組織が最も恐れていた、「魔王」が目覚めてしまう。その巨大な掌で、ハエ叩きのようにモニタールームは叩き潰される。
奇想天外と言えば聞こえはいいが、支離滅裂で、編集をとちったか、重要なストーリー上のピースを何らかの事情で使えなくて(出演者の降板など)こんなできそこないになったか。とにかく、好意的なレビューが意外なほどに多いのは、まったく理解できない。怖ければそれでいい。スリラー映画に、話の整合性なんて始めから求めてない、ということか。
評価できるのは、魅力的なキャストと、ちょっと頑張った特殊効果ぐらい。
全然怖くないしね。
あー時間の無駄だった。
2017.10.6