ディクテーター 身元不明でニューヨークのレビュー・感想・評価
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首ちょん切り
オープニングが結構、インパクトがあり見て大丈夫なのかと思った。
それ以上になんと大胆なオープニングなのかと驚いた。
「今はなきキム・ジョンイルに捧ぐ」ですから。
気にくわない奴はすべて首切りの合図。
独裁者にもほどがある主人公が一般人になってニューヨークをうろつくという「星の王子様、ニューヨークへ行く」とかぶった感もあるがこちらはネロ並みの暴君。
最期は改心したのかどうかわからないけれどとりあえずハッピーエンドで終わった。
こんな作品、よく上映が認められたなあと思う反面、作った監督や俳優は無事でいられるのか心配になるほどのおふざけ映画だった。
多分、上映されたのは欧米と日本だけじゃないか?
それでないとユダヤやアラブの人から監督は首切り合図されてあの世行きになっていてもおかしくない。
あらゆる常識やタブーをコケにしまくる凶悪なバカコメディ
アフリカ東岸の独裁国家ワディヤの独裁者アラジーン将軍は余りの傍若無人ぶりに国連から制裁を食らって国連本部に呼び出されるが謎の人物に拉致される。間一髪で脱出に成功するも、自分の影武者が用意されており自分が本物だと名乗っても誰も信じてくれず、途方に暮れているところをエコロジストのゾーイに助けられる。アラジーンは彼女の経営するスーパーで働きつつ復権の機会を窺うが、相入れない思想の人々と触れ合う中で知らず知らずのうちに影響を受けていくというラブコメかと思いきや大間違い。
開口一番「今はなきキム・ジョンイルに捧ぐ」とテロップを入れ、あらゆる常識やタブーを片っ端からコケにしまくり。特にイスラエルとユダヤ教を執拗にコケにしますが、主演のサシャ・バロン・コーエン自身が敬虔なユダヤ教徒なのでタチが悪いにも程があります。ヒロインを演じるのがアンナ・ファリス。下世話なコメディにばかり出演する奇特な人で、本作でもエグいネタを嬉々として演じてて超キュート。他には大スター達のアホ過ぎるカメオ出演もテンコ盛りで、最初から最後まで最高に楽しめる傑作でした。
過激な世の訴え人、サシャ・バロン・コーエン!
「ボラット」「ブルーノ」に続く、サシャ・バロン・コーエンの過激コメディ第3弾。
今回コーエンが扮するのは、北アフリカのワディヤ共和国で暴君の限りを尽くす独裁者アラジーン。
国連に出席する為、アメリカを訪れるが、何者かに拉致され、トレードマークの髭を剃られ、アメリカの町に放り出されてしまう…!
感動も教訓も良識的なメッセージも無い、差別と偏見とお下品ネタと不謹慎ユーモアのオンパレードの、相変わらずのコーエン・ワールド!
冒頭で北の将軍様を偲び、9・11を笑いのネタにしたり、アメリカと中国の関係を皮肉ったりと容赦ナシ!
アラジーンを拉致した何者かは、反体制派の側近たち。ワディヤ共和国を民主化しようと動き出す。
アラジーンは祖国の独裁政権を守る為、民主化を阻止しようとする!
一般的には、民主化=善、独裁政権=悪のイメージだが、これを逆に描いているのが面白い所であり、コーエンらしい所。
かと言って、独裁政権を肯定している作品などでは決してない。
独裁政権万歳!…と謳いつつ、独裁政権を風刺する。
それは民主主義の象徴、アメリカの描き方も同じ。
映画の中でアメリカを“悪魔の巣窟”と皮肉るアラジーン。アメリカは現実に某国をそう呼び、自国の正義を訴えながらも、強大な軍事力で他国を圧する。
アメリカの正義と独裁政権は紙一重…?
民主主義も完璧ではない。
ラストの演説ではきっちりメッセージを込める。
サシャ・バロン・コーエンはいつだって、一切の偽善無く、過激に世を笑い飛ばし、訴える。
(アラジーンの部屋に飾ってあるアラジーンと寝た海外セレブの写真は、きっと本人の許可ナシなんだろうなぁ…(笑))
独裁国家のハードなパロディ
なかなかの突き抜けた感が面白かったです。
面白いといっていいものかどうか(笑)
戸惑ってはおりますが、この作品のファンにはなりました。
たくさん笑った
日本では表現がどんどん息苦しくなっていてとてもつまらないんだけど、そんな日本でも上映してくれてとてもよかった。日本では地下でしかあり得ないユーモア表現でたくさん笑った。しかし面白いのは際物的な表現だけでなく、普通のギャグもたくさんあってとても楽しい映画だった。現代全体をバカにしている感じがして、とても頭のいい人が作っていると思った。でも、親しみのない文化でよく分からないところもあった。
アラブの人はアメリカの映画がきっかけで大変な騒ぎになっているのだが、むしろこの映画に怒るべきではないかな。でもアメリカも同時に小バカにしているから大丈夫なのだろうか。
独裁者の良識。
ディクテーターといったら、私にはあの名作(チャップリンの)が
一番に浮かぶんだけど、これ作ったのがあのヒトだから^^;ね、
絶対そのまんまの下品で下劣で高慢ちきな独裁者に違いない。
…本当にそうだった。というかここまで期待通りというのも嬉しい。
あのレッドカーペットで○○の遺灰と称してホットケーキミックスを
撒き散らかして(爆)、警備員に連れていかれたS・B・コーエン。
いつか誰かに殺されるんじゃないかと思うほど思い切ったことをやる
一見おバカな俳優に見えるけど、かなり頭の良さがうかがえる御人。
良識人がそっぽを向く作品を撮っては失笑を買い続けてる人だけど、
今回はしっかりと劇場映画という形で更に多くの失笑を誘ってくれた。
ちなみに私が観た時、場内はしっかり満席でしたからね~。
どんだけ良識人がいるんだよ!って話です。もう好き好きでしょ。
ラストの演説と、ニューヨークに行く。というあたりで、
先の名作と、星の王子~のミックスだな。とすぐに分かるんだけど、
あとは野となれ山となれ的に彼はガンガン露骨な映像を垂れ流し。
あっちでアラジーン、こっちでもアラジーン、何か言ったらすぐ処刑、
と笑うに笑えない(別に笑える場面でもないけど)、あらゆる決断が
いちいち大仰で面白い。だって本当にやりそうなんだもの(誰かが?)
いかにも本人と思わせる出で立ちで、こんなことやっていいのか!?
という豪快さをテキメンに映像に顕すあたり、チャップリンと似ている。
(そう言ったら失礼かもしれないが)皆がそう思っていて言えないこと、
出来ないこと、流せないこと、を代弁できるのが創作された映像作品。
まさかここまで。をやりすぎだと思うかどうか。
というより、嫌いな人はまず最初から観てないと思うけどね^^;
前二作のバカみたいなドキュメンタリー映画(これはほんとにおバカ)
と違い、ずいぶんとメッセージを秘めたバカ映画になっていることが、
一応成長とみていいのか(ないな、それは)、単なる思いつきなのかは
分からないけど、私は存分に楽しむことができた。
民主主義とは一体何なのか。誰のための民主主義なのか。独裁者は
本当に社会悪か?…とまで考えさせられる内容。
いちいち言及せずにそれを伝えられるのが、大笑いさせといて感動の
涙を流させる一級作品の真骨頂。過去の名作には必ずあったもんね。
(今作はそうではありませんが)
…だけどその人間の、根っこの部分はいつまでたっても変わらない(爆)
最後の最後でまたも大笑いさせるアラジーンのリアルな素振りは、
人種偏見までぞんざいに扱う(これぞ)愛国心の象徴だと私には映った。
(ま~豪華なキャスト陣にあの扱いでしょ^^;もうアラジーンしちゃったわ)
独裁の何が悪いと開き直った先に見えるもの
アメリカのコメディはスベることが多いのだが、この作品は笑える。
ほかのアメリカ映画のコメディ同様、下ネタ連発だが、言うべきところはしっかり言っている。
メッセージがしっかりしているから、あの「9.11」をネタにした初めてであろうギャグも不謹慎の一言で叱り飛ばせない。
ではそのメッセージとは何か。自由民主制と言われる国アメリカがしていることと、独裁政治が行なっているとされる暴挙といったいどこが違うのか?という問い掛けだ。これがけっこう鋭いところを突いてくる。
「独裁なら特定の人種を取り締まれと命令できる」「独裁ならありもしない理由をつけて戦争を仕掛けられる」と独裁者アラジーンは訴える。
「独裁の何が悪い」と開き直った先に見えるもの、そこがいちばんブラックなのだ。
イマイチ
中東~インド人系の会話の連呼と
アメリカ系のお下劣
社会風刺のペーソス
この系統では並以下の出来です。
社会風刺の強烈さとお下劣がかみ合ってストレス発散にできないと
この系統の作品は高い評価は得られません。
練りこみが手抜きです。
もっとブラックユーモア満載かと思いました…
サシャバロンコーエンの映画を初めて見ました。
ボラットとかで話題振りまいていたときに見たかったんですが
どーも日本人とのギャグセンスが違うような気がして見過ごしていました。
正直もっとブラックブラック満載のストーリーを期待しちゃいました。
意外に軽かったです。
ブラックな笑いはほとんど予告編で流れてしまいました。
ラストシーンで独裁者の定義をぶちまけるシーンは聴き惚れちゃいましたね。
同感はできませんが、なるほど、だから独裁者は登場するのか、ってことが分かった気がします。
下ネタの連発するおバカ映画には間違いないけれど、なぜかホロリとさせられます。
サシャ・バロン・コーエンの人気は、アメリカではジョニー・デップを凌ぐというから驚きです。年間収入もジョニデを上回る稼ぎとか。それくらいアメリカの映画ではコメディに人気があり、本作のようにSFやアクション大作を凌ぐ興行成績を残す作品も珍しくないようなのです。
ただコメディというジャンルを超えて、コーエンの俳優としての才能の高さは、もっと日本国内でももっと評価されるべきでしょう。その片りんを感じさせるのが『ヒューゴの不思議な発明』への出演。ヒューゴを捕まえようとする駅の警備員役で存在感を感じたひとも多かったのではないでしょうか。
本作は、企画・脚本・プロデュースの裏方の指揮全般と一人二役の主役をこなすという多才さ。下ネタの連発するおバカ映画には間違いないけれど、ジャック・ブラックの出演作のようなドタバタ劇とはひと味違う風刺の効いたもの。よく見ていると、むちゃくちゃをやっているように見えて、しっかり計算された笑いが仕込まれていたのです。
そしてラストには場違いなラブシーンもあって、ホロリとさせられる展開に驚かれることでしょう。
コーエンの笑いは、日本でいえばニュースペーパーに近いなかなかの社会派なんです。時事ネタのひねり具合では、ニュースペーパーを圧倒しているかもしれません。何しろ、自身はユダヤ教徒なのに、登場する独裁者アラジーン将軍はユダヤ教を憎むイスラム教徒。アラジーン将軍思う存分ユダヤ教徒とイスラエルの悪行を語らせるとは、何とも罰当たりな信徒なんですね。そんな教条的なアラジーン将軍がラストでユダヤ教徒と和解しなくてはいけない事態になってしまうことがミソ。本作の隠れたテーマは、独裁者を描くことで、対立しあうアラブ諸国とキリスト教諸国が和解し合う大切さをサラリと語っているのです。
独裁者に和解せざるを得ない展開をもたらすのが、フェミニストの活動家ゾーイの存在。側近に寄って影武者とすり替えられて、ニューヨークの街に捨てられてしまったアラジーン将軍は、トレードマークのヒゲを剃られて、誰も本人だと気づけない一回の浮浪者に落ちぶれてしまいます。そんなアラジーン将軍と偶然出会い、自分の経営する自然食スーパーの店員として雇ったのがゾーイでした。独裁者とフェミニストの組み合わせとき何とも真逆な組み合わせです。でもアラジーンは、ゾーイの優しさに好意を募られたことから、正体を隠し、次第にゾーイのいうことにも耳を傾けたのでした。それは大勢の人の意見を聞くこと。将軍だった頃の自分は少しでも意見が合わないと次々処刑命令を出していったのでした。
そんなゾーイに連れられて立ち寄ったのが、自分が処刑したはずのワディヤ人のたまり場の店。あっという間に正体がばらされたアラジーンのピンチを救ったのが、処刑したはずの核ミサイル開発者でした。
自分を権力の座から追い出した側近は、影武者を操って、欧米と和解し、民主制への移行を誓約する和平条約をアメリカと締結すると発表。残り3日間で何とか影武者と入れ替わらなければ永遠に独裁者の地位をはぎ取られてしまうことになったアラジーンは核ミサイル開発者と共に反撃を開始します。けれどもゾーイの密告という思わぬ裏切りにあって、計画が側近側にバレてしまい、大ピンチに。刻々と調印式典が進むなかで、アラジーンはどう切りぬけるのか。またゾーイとの関係は修復できないのか、ぜひ劇場で目撃されて下さい。
チャップリンの『独裁者』と比較して、本作のアラジーンは独裁者といっても、支援する国や多国籍企業のお飾りに過ぎないという実情がなんとも現代的な設定と言えるでしょう。独裁者といえどもそれらの意向に逆らったら、影武者と取っ替えられてしまうのです。
そんな皮肉をたっぷり効かせてくれるのが将軍に復帰したアラジーンの各国記者を前にした記者会見での演説でした。演説の中には独裁国を支援したり潰したりするアメリカの矛盾を痛烈に皮肉っていたのでした。
ただラストシーンを見る限り、自身の独裁ぶりを反省したかどうか定かではありません(^^ゞ裏では時事ネタをしっかり絡ませながらも、理屈無く笑わせてくれる作品なので一度ご覧になれば、きっとコーエンの世界にはまると思いますよ。
出尽くした?
知人の勧めで『ボラット』を観たことがあります。 ドキュメンタリー作品に似て非なり(フィクションです)。 過激で 生生しい映像に開いた口がふさがらない。 そんな映画を撮る チャールズ監督とサシャのタッグ。 ハチャメチャで下品なコメディは あまり興味がないのですが、ミーガン・フォックスが出演していると聞いて 観に行きました。
独裁者(The Dictator)という切り込み方は(誰もやりたがらないし)シャープだと思いました。 でも ブラックすぎるギャグに半笑いだったり、過激な行動は『ボラット』で出尽くしてしまったのか、ちょっとやそっとのことでは 驚かない、逆に「こんなもん?」と 物足りなささえ感じる(『ボラット』対比での感想です)。
顔が売れてる俳優さんたちが 何人も出でていますが、ポジション的には さほどインパクトもなく。 ただ“(おバカ映画)出演記念”と“作品にクレジットがつく”という互いに利益が発生する?相乗効果みたいなのがある感じです。
ミーガン・フォックス(『トランスフォーマー(2007)』)、お飾り出演。 ベン・キングズレー、『ヒューゴの不思議な発明(2011)』つながり。 ジョン・C・ライリー(『ダレン・シャン(2009)』など。 こちらもおバカな役がお得意の アンナ・ファリスは 真面目なゾーイを好演。 「ここで笑っちゃだめよ」のシーンも きっちりとこなしていたので、彼女のキャスティングは良かったと思います(でも 今回は お色気なし、ミーガンいるしね)。
だんだんアダム(・サンドラー)とかぶってきた気がする サシャ・バロン・コーエン。 『ヒューゴ…』で良い演技を見せていたし、ちょっとシリアスに転向を考えてもいいのでは?と思いました。
中東では未だ残っている 男尊女卑などをギャグにしてみたり、触れちゃいけない部分に踏み込んでいくスタンスは あまり変わっていない評価(していいのかな?苦笑)2.0 + 「ここは笑えた」と思いだせるシーンが いくつかある0.5の トータル2.5。
83分と短い作品ですし、BD待ちするのが賢い気がします。。。苦笑
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