「かまど消しだが運は良かったということ?」奇跡のリンゴ いもりりさんの映画レビュー(感想・評価)
かまど消しだが運は良かったということ?
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包容力のある素敵な家族像が描かれている話。
一方で、妻側の視点で見ていたせいか、主人公である夫に共感できなかった。
まず妻子ある身で全財産を投げうつ程の理由が説得的に描かれていない。
浅はかな考えで保険をかけずに全部の畑でギャンブルし、
結局畑を減らしただけの話を美談のように言うのは勘弁して欲しい。
家族のためといいつつ、自殺を選ぼうとするところにも矛盾を感じる。
それと主人公の努力の方向にも賛成できない。
先人の足跡を追体験することに膨大な時間と財産を費やしている。
自分で考えることは確かに重要だが、
一方で、蓄積された知識を紐解くことの効率性を無視しており、
付き合わされる家族は酷である。
とはいえ、その努力が実って結果が出たならゴメンナサイと言うしかないが、
どうやらそうでもないらしい。
なぜなら映画では結局「奇跡のリンゴ」に重要なのは土だという結論になっていて、
中心的に描かれていた散布物の試行錯誤がどの程度成否に影響したかがわからないから。
そもそも、どん底からの転機が「運」とはいかがなものか。
「死の直前たまたま目の前に現れた神々しく光る木」を発見したことが成功の鍵だとすると、
彼の頑張りと直接の関係がないところで成功が導かれたことになる。
要は、この映画の構成では
無責任で的外れな挑戦だったけど奇跡に助けられて成功した話、
という感想を持たざるを得ない。
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