「衣装が綺麗で、映像美と共に、笑える楽しい娯楽作」白雪姫と鏡の女王 Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
衣装が綺麗で、映像美と共に、笑える楽しい娯楽作
この映画で一番注目すべき事は、何と言っても日本人でアカデミー衣装デザイン賞(FF・コッポラ監督の『ドラキュラ』92年)を受賞されたキャリアをお持ちになる石岡瑛子さんが衣装デザイン担当をされていている事だ。
そしてその彼女が残念な事に今年の1月に亡くなられた為に、エンドロールでこの作品を彼女に捧げると記載されている事は、この映画がやはり、良きチームワークの中で素晴らしい仕事を成し遂げた事の証のようで、映画のストーリー以上に感動を憶えた!
夏に公開された『スノーホワイト』とこちらの作品を比べると光と影と表現しても過言ではないほど、同じグリム童話の『白雪姫』でありながら、その描き方が真っ向から相違するのだ。
『スノーホワイト』があくまでも魔女のダークな呪いの魔力をデフォルメし、その力に負けずと闘いを挑む白雪姫との力による闘いと言う構図で、終始画面もダーク系だ。
それに引き換えこちらのこの『白雪姫』、さすがはラブコメのお姫様ジュリア・ロバーツ主演だけあって、毒リンゴの魔女でさえも彼女が演じると、可愛い、愛すべき魔女へと変身してしまうのだ!
国民に重税を課して、魔女は日々贅沢三昧のパーティーに明け暮れるメチャクチャな生活ぶりでも、そのパーティーシーンを始めとして、豪華絢爛な石岡瑛子さんの衣装デザインの美しさのパレードを観客の私達は楽しめるのも、この映画の大きな魅力だよね!
ジュリアは終始大きな声で笑って暮している、その暴君ぶりも、もう大爆笑ものだ。
余りの作風の作りが真っ向から対照的なので、気になりこの映画の監督作品の名前をチェックすると、ターセム・シンだ。映像美に凝る人なのだよね。そして、やはりインド出身監督らしい、あの『踊るマハラジャ』の様な天然系の、楽天的な明るさと、踊り大好き!パーティーシーンなら、俺に任せろ的な、このポップな画面展開で、ノリの良さはどっから来たのかと思っていたら、ターセムさんで納得しました!
白雪姫を演じたのは、『ミッシングID』などに出ていたリリー・コリンズで、これからがどんな俳優に育ってくれるのか今後が楽しみな人だ。
そして王子様を演じたアーミーハマーは、私が大好きな監督のC・イーストウッド作品の『Jエドガー』で、D・プリオ演じるFBI長官の右腕の副長官と言う難しい役処を見事に演じたあの彼が今回は、ガラリとイメージも変わり高感度もアップして良かった!
世界的に誰もが知っている有名な物語、それも童話と言う子供向けのストーリーを映画として制作するには、どう料理する事で、単なるこども向けの映画になるか、或いは家族や、ティーンや若い人達から熟年層の大人まで万人が楽しめる映画に仕上げる事が出来るか否か、最もその監督の力量が問われるのが、案外こう言う作品の制作だったりするのですね。
お好みの問題でしょうけれど、私はR・サンダース映画より、本作が好きでした!