「人は何歳まで、色気を持つのだろう?愛する事とお色気は別と思うけど?」みんなで一緒に暮らしたら Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
人は何歳まで、色気を持つのだろう?愛する事とお色気は別と思うけど?
ジェーン・フォンダの新作出演作品を観られるのは本当に久し振りで嬉しくなる。
しかし、彼女も知らぬ間に75歳となっていて驚いた。
実際画面でその姿を観ると、記憶の中の彼女と今出会った画面で観る彼女とのその変化の大きさに改めて驚かされるのだった。
そして映画の中の彼女自身も、そんな自分が歳である事を認めないような役柄だった。
年老いた女の役である事には変わりは無いのだが、お色気を漂わせるところが多々あるのだ。逆にその姿は妙に哀しく、私には想えてしまい残念な思いだけが残った。
彼女が演じるジャンヌと言うヒロインは、老人の性生活について色々に若い、学生と話をするのだ。年老いても尚、性に対する欲望は枯れないと言う事を延々と繰り返す。確かに人間の3大欲求の中の1つで有る以上、生きている限りその欲求は続くのかも知れない。
しかし、個人差がかなり有る問題だと思う。
そんな彼女の演じる役柄を観ていると、どうしても明らかに無理をしている様に私には見えてしまうのだ。
歳老いて、死を迎えるのではなく、ガンの延命治療を拒否し、自分の死を自然に任せると言う自宅死を希望するジャンヌを演じていた。そんな再起不能の末期ガン患者が衰弱する筈の生活の中で、妙に色気だけ、尚衰える事無く、残している事に違和感を憶えた。
物語は、ジャンヌ達2組の老夫婦に加え、独身の永年の友人の男性一人を含む彼ら5人と彼らの世話をする、若い男性学生一人との合計6人が一つ屋根の下で暮らすと言う奇妙な共同生活を描いたのが本作だ。
アメリカでも今や、日本同様に高齢化が益々進み、老後の生活問題が、深刻な社会問題になっているのだろうか?最近ではこの様な老人の生活をテーマにした映画作品が多数制作され、上映されているようだ。
自分では、日頃中々気が付かない、否、気付かないフリをしているのだろうか?時々有る瞬間には、パッと自分が以前と比べて、老いて来ている事に気が付く瞬間と言うものが、必ず有るものだが、大半の人間は、この事実を中々認めようとはしないで、無視するのだ。
もし、自らそれを認めたら敗北するとでも言う様に、若さを死守するように、抵抗する事が多い。
心臓発作を起こしているにも関わらず、それを認めようとしないクロードしかりだ。本当にこんなに、何時までも、異性の事ばかり、頭の中は一杯でいたらどうする?と不安にさえなった。年老いたら、仲良し仲間数人で一緒に暮すのも楽しい事かも知れないと思っていた私だが、この映画を観たら、そんな夢は、何処かにぶっ飛んでしまった。
人は老いを認めると、余計に老いが加速化すると考えてしまう傾向が有るようだが、決してそうなるとは限らない。人は自分の限界を受容する事で無理なストレスを回避させ、気軽になり、開放的な気持ちで、ゆっくりと生活を楽しむゆとりが出来、返って若さを保つ事が可能になり得るのだとこの映画を観て私は思うのだが、私もこの映画の主人公達の年齢に成るには未だ数十年必要なので、出来るなら、その時また見直して見たい作品だね!