劇場公開日 2013年9月28日

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「タイトルの「父になる」は深いテーマを含んでいる。愛情の根本的なところを問いかけてきて、涙も出た」そして父になる p.f.nagaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5タイトルの「父になる」は深いテーマを含んでいる。愛情の根本的なところを問いかけてきて、涙も出た

2025年3月20日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

泣ける

知的

「親子の愛情」について普通は何の疑問も持たないし、切っても切れない強いものだと思う。その強い関係性と強い感情をひっくり返すような事件。観ていて心がゆさぶられ、動揺した。
「そして父になる」というタイトル、その当事者は福山雅治が演じる 野々宮 であろう。事件の前は、父親と言えるのかどうかという人物だったが、映画の後半でお金では買えない大事なことに気づいて、ようやく“父になる”。 そうだよ、それ大事なことだよと共感した。

一方の父親を演じるのはリリーフランキー。こちらは収入も多いとは言えない個人事業主で、野々宮とは格差があり、品のない行動もする。この対比が映画を面白くしている。お金をかけて子供を『教育』するのが良い父親なのだろうかとか、子供をかわいいと思う感情はお金に換算できないとか、血がつながっていて、自分に似ていたりすることは愛情と関係あるのかとか。いろいろ考えてしまった。

当の子供がやはりかわいそうで、観ていて抱きしめてあげたくなる。言葉を並べるよりも、ハグして何も言わなくて良いと何度も思った。そして、映画の登場人物たちがようやくハグする。それはやはりハグが効果的な場面なので、涙が出た。

当事者二人の子役もうまい。二人とも健気でかわいい。父親の性格も育てられ方も大きく違うのに。生まれてからずっと一番頼りにしていた人と引き離されるという過酷な体験を強いられるのだから、親たちよりもずっとつらいはず。それをあからさまに出さない演技と脚本もリアリティがあって良かった。

p.f.naga