「なかよし」そして父になる ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)
なかよし
「血よりも親子として一緒に過ごして来た時間だろ」と言い切ってしまえれば、まあそりゃあ格好いいのでしょうねえ。
俺もどっちかってーとそう啖呵切って解決(?)したい方です。その方が格好いいですから。格好の良し悪しじゃないですけど。
んー、まあね。どうにも結論出ないですよね、こういうのって。いや、自分は独身ですから、想像の範囲内でしか語れませんけども。
まあ或る程度、例えば成人してからとか、40、50になってから事実告げられりゃあ「はあ?今更?もうそんなん関係ないでしょ」で済む部分あるでしょうけども。
6歳ですからねえ。
いやあ、観てて所々精神的にキツかったです。
取り違えの事実知らされた時に『ショックで身じろぎ一つ取れない!』とか大仰じゃないでしょ、演技が。生々しいんですよね。
淡々としてる、てのとも違いますよね。大人な対応というか、社会人としての反応というか。
ストーリーが進むにつれて怒り狂ったり泣いたりもするんですけど、即興演技(っぽい)の妙味というか、演じてるって分かるんですけど、あざとさがないんですよね。リアクションのひとつひとつが生っぽい。
リアルというか、観ててこっちの感情移入の入り具合がハンパないんですよ。だから観ててキツくなってくる。
特に子ども達の屈託ない演技ですよ。発言や行動にクスリとしたり、「あ~それ言っちゃうか~そうだよね」と切なくなったり、無邪気過ぎて涙誘われたりして。
もうね、どうしても泣いてしまいますよ。大粒の涙が頬を伝いましたよ。館内クライマックスはもう全員啜り泣き。
そしてね、あのラスト。
そこで幕閉じますか?という終わり方。
結論なんか出ないことは重々分かっているけど。
一回下したその判断はもう二度と覆りはしないのだけど。
人生はそこまでドラマチックではないけども。
でも、何処か希望も抱かせてくれる終幕。
そして、父になるんですね。