「途中のエピソードがマイナス」アフター・アース ジャッカルさんの映画レビュー(感想・評価)
途中のエピソードがマイナス
てんこ盛りのテーマが、概ねバランス良く取り込まれている。
メッセージ的には
●親子は本気で話し合おう(2/10)
●自然を大切にしよう(2/10)
●残りの(6/10)はおそらく「私は弱い時こそ強い」と言うⅱコリントの聖句だろう。
アドベンチャーアクションとしては、
●川口浩探険隊未確認生物シリーズ(の何か)
●川口浩探険隊洞窟シリーズ(の「ギャオ」)
●そして、モンスターハンターだ。
ここからはネタバレになってしまうが、WスミスとJスミスの心理描写も、地味ながらイケてる。
前提としては、二人ともJスミスの姉が的に襲われた時に、助けられなかったと言う事にコンプレックスを感じている。Jスミスが軍隊を志願しているのは、一見父親の後を追っているように見えるが、実のところこのコンプレックスに悩まされている為だ、と言う事が話が進むにつれてわかってくる。
Wスミスも、冒頭この任務が終わったら引退と言ってはいるけれど、やはり傷は癒えていない。妻に「私の所で働くか」と聞かれた事に対して曖昧な笑いで答えている。片脚を失った兵士の敬礼に答礼する場面は、ラストシーンへの重要な布石だ。
救出後、Wスミスは片脚を失った兵士のポジション、JスミスがWのポジションでラストを迎えるが、Jスミスは答礼せずあくまで息子として振る舞い、軍をやめて母親の元で働くことを宣言、Wも同意するが、冒頭での妻との会話の時とは全く温度差が異なる。「弱い時こそ強い」のは目に見える怪物ではなく、コンプレックスに対する弱さである。
また、途中ウィングスーツで飛びたす場面があるが、この前後の会話〜機体後部に辿り着くまでは、やはり聖書の「放蕩息子の帰還」がモチーフになっていると思われる。
そして、マイナスなのはこの直後の部分なのだ。Jを襲った猛禽が何故か自分の巣に連れて帰り、その巣がライオンモドキに襲われてそれを協力してやっつけるも、雛は全滅。しかし、それに感謝した猛禽が凍えそうなJを自分を犠牲にして寒さから守ると。エピソードがしょぼいし、必然性が全く見られない。ウルッとしなければいけないのだろうが、突如的すぎて「???」となっただけで終わってしまった。ここはいらないと思うな。それより、途中でいきなり武器がなくなってるんだけど、その経緯が完全にカットされていて、そっちの方が気になるよ。
あ、マグマがドロドロ流れる洞窟で「毒ガスでやられちゃうんじゃないか?」というツッコミは川口隊長に敬意を評してしないことにします。毒蜘蛛を素手で払い落とすところもね。