「決して悪くない、悪くないのだが、何かが物足りない。」アフター・アース アルさんの映画レビュー(感想・評価)
決して悪くない、悪くないのだが、何かが物足りない。
今回のウィル・スミスはとにかく落ち着いた役柄、大暴れも無く淡々と状況を把握して指示を出す歴戦の英雄サイファ。そして主役は息子のキタイ。ウィル・スミスの息子となれば、それはキタイに期待もしてしまうだろうが、数々のアクションをこなしてきたウィル・スミス、ではない。
キタイ演じるジェイデン・スミスを批評されている方が思いの外に多いが、設定では成績は優秀で本番に弱いだけ。もう既にフラグは立っており、急成長も想定の範囲内。ずっとハの字眉毛でロクに言う事も聞かず、おびえるだけおびえて無鉄砲。という所でこの後の展開はもう見えているはず。
と、厳しめにコメントしているが【アフター・アース】の地球の映像がとにかく美しい。1000年という年月が経っているとは言え、壮大な景色に何がどのように影響を与えたのか気になる所だが、ここは楽しむべき風景。そして、細かな考察は気にしない(という形がベスト)。
キタイの姉センシのフラッシュバック、カットインは数少ない伏線だが、家族間の絆も含めて人物像を掘り下げるにはとても良いエピソードに感じた。
「アーサ」という天敵との最終決戦。「アーサ」の設定は本作で一番の秀逸な部分。もっと練れば“ゴースト”以外の何かもあったはず。ずっとハの字眉毛だったキタイの集大成は一番の見所。言う事を聞かなすぎるキタイには苛立ちは押し殺し、子供とはこういうものとある程度割り切って、お約束通りのストーリー展開を頭空っぽにして楽しむ映画。。。だが、やはりSFとしても何かが足りない。シャマラン監督のテイストをもう少し入れてくれれば、良いスパイスになったかも知れない。それにしても、こんなにも動かないウィル・スミスが観れる映画も珍しい。