「一夏の大冒険」アフター・アース Minaさんの映画レビュー(感想・評価)
一夏の大冒険
親子共演というインパクトで何かとメディアでも取り上げられていた本作は、丁度低迷期のナイト・シャマラン監督が手掛けた作品だ。結果はどうも散々だった様だが、冒険活劇として観れば悪い作品では無い。親子二人で困難を乗り越え、絆を深めていくというストーリーなのは鑑賞前から手に取るように分かっていたが、父親のウィル・スミス演じるサイファは船の墜落により両足を負傷し、まともに動くことが出来ない。そこでサイファは息子キタイに遠く離れた場所に船の残骸の回収に向かわせ、仲間に救難信号を送るという指示を与える。そしてキタイはそこを目指して孤高の旅に出向くというストーリーである。
・・・そう、基本的にジェイデン・スミス演じるキタイが成長していく様を描いた作品なのである。寒暖差の激しい環境だけでなく、大型の肉食獣が闊歩するジャングルで、たった一人で立ち向かっていく。よってウィル・スミス本人はあまり登場せず、見せ場という見せ場は無い。キタイは肉食獣との戦いで命の危機に直面するが、自身の未熟ではあるが本能ともとれるサバイバル能力で切り開いて行く訳だ。やはりこの成長する姿には感動する。
また、途中で登場する大きな鳥が雛を助けようとしてくれたキタイを命がけで守った姿に最も感動してしまった。このシーンは動物好きならば心が痛いシーンかもしれない。
本作には物語のキーとなる、「アーサ」という怪物が登場するのだが、このアーサは人の恐怖心を察知し、攻撃を仕掛けてくる手強い相手だ。物語の要となっているのが、このアーサに打ち勝つにはどうすれば良いのかをキタイ自身が見つけ、立ち向かっていくという物になる。
テーマは非常に良いと思うが、本作の最大の欠点は、色々な世界観を詰め込みすぎな所だ。単純なストーリーの割には世界観が独特であり、ごった煮している様にすら感じる。よって理解する前に話が進んでしまい、何となくぼやっとしたイメージになってしまったと思われる。脚本は筋が通ったしっかりとしたものだったため、ストーリーには引き込まれる。ややナイト・シャマラン監督が故に個性的な作品だが、その個性にフィットすればお気に入りの作品になりそうである。