劇場公開日 2013年2月8日

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「「小さな世界が大いなる世界への扉を開いたらどうなる?」」ムーンライズ・キングダム ロロ・トマシさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0「小さな世界が大いなる世界への扉を開いたらどうなる?」

2013年4月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

舞台感覚、箱庭的質感、スモールな世界で繰り広げられるスケール感の広い内容。
「小さな世界が大いなる世界への扉を開いたらどうなる?」という感じの、なんか、こう、寓話的というか。
うん、実に不思議で実に分かり易い(?)映画でした。

この映画を観た方なら分かると思うんですけど、全編に散りばめられてる技巧というか、ギミック?仕掛けというかね、相当量あるじゃないですか。その手法が映画の全体を占めてますよね。
で、そういうのって必然性があったの?なかったの?みたいなことを考えてしまうと、人によって意見は違うと思うんですけど、多分居らないんでしょうね。
でも、なんて云うかな。
居らないからこその必要性というか。
舞台装置といえばいいのか。
在るから楽しいというか。

この映画の主人公、サムとスージーのズレた者同士がお互いに感じたシンパシーは、きっとこういう奇妙な必然性から成り立ってる、みたいな?
んー…違いますねw

でもね、このサム&スージー。
最初の出会いから幾度となく交わされた文通によって、いつしか固く結ばれてしまった訳ですよ。愛の絆がね。もう離れられないというね。
何度行く手を阻まれようと誰も引き裂くことが出来ないぐらいに強固。
例えるなら、それはボニー&クライド、カート&コートニー、ジョン&ヨーコ、シド&ナンシー、佳祐&原坊、etc、etc…。

これこそ愛の逃避行。

この箱庭的空間は、彼らの小さな世界の縮図。そこをいつか突き破る。突き破ってみせる。まさに「小さな世界が大いなる世界への扉を開いたらどうなる?」という、メタ構造な訳ですよ(メタ構造って意味よく知らないで使いましたけど)。

そんな感じの映画でした。ハイ。

ロロ・トマシ