「大人の絵本」ムーンライズ・キングダム マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
大人の絵本
小さな島で12歳の少年少女が駆け落ちする。逃げるといっても子供だけで島からは出られないので、いずれ見つけられて捕まるのは分かりきっている。
この映画では、身の回りで一般常識を破る者が現れた場合、周囲の人間がどう振る舞うのかを描写する。
はじめは迷惑なヤツらだと思っていた人々も、小さな二人を温かく見守りはじめる。60年代の、人々が助け合って生きてきたよき時代を、軟らかな色調とともに想起させる。
いじめっ子も大人も、誰もが手を差し伸べる。
そこに嫌味な上官や福祉局員といったちょいワルを登場させ、ところどころマンガチックなカットを挿絵風に挿入して、子どもが主人公ながら、大人が責任ある大人に成長していく大人のためのファンタジーに仕上がっている。
だから大人たちのキャスティングが贅沢なのだ。
60年代といいながらも、現代でも話が受け入れやすいように、もしかしたらそんな人と人が温かく繋がった生活が残っていそうなと思わせる小島を舞台に選んだのがよかった。
気象観測者みたいなのがナレーターを務め、いっそう絵日記風な色合いを醸し出している。
コメントする