悪の教典のレビュー・感想・評価
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理由なき退屈な殺人
いったいこれはいつまで続くのか。そもそも彼は、何のために殺しているのだろう?
淡々と死体の山が築き上げられる後半、ふと野暮な疑問が浮かんでしまった。人気者の高校教師、ハスミンこと蓮見の正体は、他人への共感性が欠如したサイコパス(反社会性人格障害)。彼の殺人には理由(いわゆる殺意)がない。殺したい、殺さなければならない、殺すべきだ…どれも当てはまらない。どこまでもシンプルに、ただ単に「殺す」なのだ。
学校を舞台としたバイオレンスものと言えば、「バトルロワイヤル」、三池監督自身の「愛と誠」「クローズ」…と枚挙にいとまがない(母子愛憎もの「少年は残酷な弓を射る」も、ある意味、このジャンル)。それらは、恐怖をあおったり、滑稽さをちらつかせたりして、観る者を楽しませ、惹き付け、飽きさせない。三池監督は、そんな術を熟知しているはずだ。その監督が、今回はあえて「退屈な殺人」という描写を意識しているように感じた。フィクションとはいえ、殺人とは、人の命をことさらに奪うこと。それを眺めて「退屈だ」と感じてしまった瞬間、後ろめたさ、居心地悪さ、自分への空恐ろしさが追いかけてきた。これが監督の狙いではなかったか、とハッとした。
もちろん、様々な仕掛けはある。人殺しをモチーフにした歌を絶妙に織り混ぜたり、猟銃が異形となり主人公に語りかけたりし、ニヤリとさせられる。しかし、加速はしない。あくまで抑制が効いている。主人公が殺しを繰り返す背景は徹底して垣間見せず、推測の余地を与えないのだ。
なぜだ、なぜやったんだ。理解不能の出来事に遭遇すると、私たちは納得できる理由を求める。すっきりと腑に落ちたい、安心したい、と思う。けれども、ともすると、納得や安心は安易な忘却に繋がる。自分に関係のない遠いことだから、もう済んだことだから、と。
しかし本作は、彼を恐ろしい人物とも滑稽な輩とも描かず、自分たちから遠ざけることを許さない。こんな人物、近くにいませんか。御用心、御用心。そうそう、そういえば、あなた自身は? わざわざこんな映画を観に来て、退屈だなんて感じるような共感性のないあなたは? そう囁きかけられている気がした。
…それにしても。冷酷非道なサイコパスとはいえ、所詮人間。どこかにヌケがあり、ミスをする。悲劇はそこから始まる。蓮見の行動が完璧であれば、彼の正体は闇に葬られ、大胆なドミノ倒しにも似た大量殺人は起きないのかもしれない。とすると、殺人とサイコパス、どちらがきっかけで、結果なのだろう。タマゴとニワトリ、どちらが先か。あの問いに、どこか似ている。
教師による生徒の殺戮
貴志祐介同名小説を伊藤英明主演で映画化。まぁ、ひたすら高校生を殺しまくるという、三池崇史監督だからこそ許されるような作品です。
公開前にAKB48の大島優子が「私はこの映画が嫌いです。命が簡単に奪われていくたびに、涙が止まりませんでした。映画なんだからという方もいるかもしれませんが、私はダメでした。ごめんなさい」と涙ながらにコメントしたというエピソードもあります。
まぁ、ストーリー自体は単純で、純粋でさわやかと思われた伊藤英明演じる、ハスミンこと高校教師の蓮実聖司が徐々に本性を現し、最終的には、生徒を学校内で皆殺しにするというある意味簡単な構成なのですが、教師が生徒を楽しそうに殺しまくるという衝撃度が注目されています。
これまでの正義=伊藤英明といっても過言ではないくらいの役しかやっていなかったのだが、そのさわやかさを生かしつつのサイコ演技には、恐ろしさを覚えます。ハスミンを完全に信じきっていた生徒は、間違いと気づかされた瞬間に、ショットガンでドゴン・・・。
ショットガンという銃は、非常に恐ろしくて残酷な銃。一度に何発もの玉が発射され撃たれたものは蜂の巣状態。それを高校生相手にひたすら打ちまくるという始末です。
学生同士の殺戮といえば、『バトル・ロワイアル』を思い出しますが、やはりこの映画は教師による殺戮という前代未聞の状況が特異なものに感じられました。
観たあとが苦しい
特殊能力がなくても強くて優秀な怖い存在
観てから読むか?読んでから観るか?
映画館で見た時には、イマイチな気がしてたんですが、改めて見たらなかなかどうして、面白いじゃないですか!特に後半の容赦ない虐殺っぷりは最高です。(不謹慎ですがホラー大好きオヤジなんで、すみません)
伊藤英明さんといえば「海猿」で見せた正義のヒーローのイメージが強かったのですが、まさか、こんな殺人鬼を・・・って、当時は結構衝撃でしたね。
そして、このサイコパス教師に殺害される生徒達がまたスゴい。染谷さん、伊藤さん、松岡さんと、今をときめく役者さんたちの若い姿が見られます。みんな可愛かった。
そういえば、山田孝之さんも教師役で参加してました。胡散臭い教師がピッタリです。
さて、本作品。
先ほど、映画館で見た時にはイマイチだと感じたって書きましたが、映画を見終わってから、原作の小説を読んだら、メチャクチャ面白かった。なぜこの面白さが映画では感じなかったのだろう?
小説の方が、情報量が多い分、面白いに決まっていると思います。(まぁ、中にはダラダラとムダに長ったらしいやつもあるかな)
自分は、ドキドキしながら映画を見たいという想いがあるので、映画の後で小説とかの原作を見るようにしてます。
映像が先にあるので、イメージがしやすいってところもあるかな。
バトルロワイヤルほどのインパクトはない
迷いがない、一度決めたらとことんいくハスミン
高評価したら人間性問われそうですが、
バトル・ロワイアル観た時と同じ気持ちになりました。
すーっごいワクワクしました、
あの歌とハスミンのせいで…。
モリタートの三文オペラ。
不気味な雰囲気の曲調のと、
明るいジャズ調のとが、
ハスミンというサイコパス性と
恐ろしいほどマッチングしてたと思います…。
血まみれの殺戮シーンは見せ場であるが
原作は読んでなかったのですが面白かったです!
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