劇場公開日 2012年5月12日

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「見始めてすぐ、「あ、これは駄作だろうな」と思った」隣る人 aooniさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 見始めてすぐ、「あ、これは駄作だろうな」と思った

2025年6月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

幸せ

撮り方がつまらないし、なんか学生映画でも見せられている気分だった。
ナレーションや字幕での説明も一切なく、
映画館にフラっと入ってなんの知識もなく見始めた私は
いったいどんな映画なのかを理解するのにも苦労した。
BGMもない。ただ淡々と映像を流すのみ。

しかし結論から言って、このドキュメンタリーは傑作であった。衝撃を受けた。

まずこの映画の簡単な説明をすると、このドキュメンタリーは
ある児童養護施設を8年間の歳月をかけて記録したものだということ。

面白いのは8年という長い年月をかけたことによって
撮り手と対象者たちとの関係性に変化がみられるということ。

始めは客観的にカメラを回していて、対象者たちもカメラを意識している。
しかし次第にカメラが当たり前の存在になり、撮り方も徐々に主観的になっていく。
撮り手が普通に会話をしながら、そこに入り込んで撮っているのである。

長い撮影の中で、こどもの成長や変化、様々なドラマが移されてされているが
あまりにも撮り手と対象者との距離が近いため
ふつうのドキュメンタリーでは到底ありえないレベルの生々しさをもって
記録されている。

この衝撃は観た人にしかわからないと思う。

この映画は作りが上手い映画とは決して言えないが
作品としては紛れもなく傑作である。

aooni