「まだ間に合いますか?」この空の花 長岡花火物語 ryukundesuさんの映画レビュー(感想・評価)
まだ間に合いますか?
大林監督の映画で有名なのは「時をかける少女」などの、いわゆる尾道三部作などで、日本の街の原風景や出演する若手俳優の聡明さや魅力をうまく表現する監督というイメージが自分の中で強かった。
なので当初、同監督が長岡花火をテーマに映画を作ると聞いて、「時をかける少女」っぽい映画で、長岡という街の魅力を存分に引き出すような映画になることを大いに期待していた。
しかし、"「時をかける少女」っぽい"という意味では全く期待を裏切られる。
展開は演劇をテーマにしているだけあって、
俳優のカメラ目線や台詞の言い回し、字幕の活用も含めて、
まさに演劇風にすすんでゆく。
そして長岡花火の歴史を通じて、
災害、そして戦争などの人災について、
人間はどうあるべきなのか、
という重いテーマが投げかけられる。
「まだ戦争には間に合いますか?」
キーワードは想像性。
この映画に対してもその想像性が多いにためされているなと感じた。
冒頭で監督は、
この映画は「年寄りから若い子どもたちへ捧げるメッセージ」としている。
(さらに言えば最後は監督自らナレーションまでしている。)
残念ながら、これを観た日の映画館内の観客の平均年齢は、時間が早かったことも手伝ってか、優に70歳を超えており、いちばんの若者は僕くらいだった。
たしかに3Dでなくていいし、サラウンド映画でなくてもいい部類のものなので、映画館でみなくてもよい映画なのかもしれないが、
映画のながれる場所は関係なく、
できるだけ多くの人(次の世代のわかい人たち)に見てほしい映画なのだろうと感じた。
期待通り、
よりいっそう長岡という街の魅力を感じる一本なことに間違いはなし。
そして何より、久石譲さんの音楽が一定の力を持って波動のように心に沁み入り、そして震わせられた映画だった。
星は映画を観た後にまで残るこの映画への期待や自らの居住地のバイアスをかけて4.0。