「カウリスマキオールスターの共演」ル・アーヴルの靴みがき あしたさんの映画レビュー(感想・評価)
カウリスマキオールスターの共演
弱者とは、そこに手を差し伸べることとは、を描こうとした作品で、グローバル経済(自分たちの「外」に搾取する対象を置くこと)への深い絶望はベースにありながらそこを上手く消化できずにファンタジーになってしまった作品とも思えました。
決して駄作とも失敗作とも思わない、なんなら観ている間は楽しめてしまったわけですが、この次の作品で一度引退宣言も、あとになると辻褄が合うというか。
壁やフェンスの青い色のイメージの連続はこの作品を思い出すときにキーになるものですが、それはやはり温かい色ではなく、どこか断絶をイメージさせるのに対して、最愛の妻のイメージカラーは赤、温かい黄色、といったところも勿論コントロールされていて、信頼が置けるのは間違いないわけです。
しかし、きっとアキ・カウリスマキのバイオグラフィー的にはきっとグローバル社会への深い混乱期の作品ということになるのではないでしょうか。
最後に、アキ・カウリスマキ作品の常連さんたちをたくさん見れて私は幸せでした。
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