「半分、青い。どころか全編ケツが青い」新しい靴を買わなくちゃ よねさんの映画レビュー(感想・評価)
半分、青い。どころか全編ケツが青い
本作に関してネタバレ含むコメントは下記の通り。
・シャルル・ド・ゴールからならメトロで移動しろよ、向井。
・スズメがセンを置き去りにした瞬間には存在しなかったスーツケースが暫くして突然出現する・・・お前はカメラマンじゃなくてイリュージョニストじゃないのか?
・なんで都合よくアロンアルファを持ってんだ、つかそんなことよりホテルの名前と住所くらいスマホに入れとけよ、向井。
・桐谷、綾野のアパートをアポなし突撃。ピンポーン!来ちゃった!ってそれは昭和にひょうきん族でさんまと紳介がやってたコントだよ。
・桐谷&綾野、恐らく全部お任せのアドリブでイチャイチャを表現するも、どっちもガチで照れてて観てるこっちが恥ずかしい・・・つかそこはNG出せよ、北川。トイレに行ってたのか?
・ミポリンの名刺、ローマ字の下に「アオイ・テシガワラ」と書いてある。日本人向けのフリーペーパーなんだからそこは漢字でいいんじゃないのか?あれか勅使河原って観光客には読めない、そういう設定?
・ミポリン、コンパクトデジカメで街中を取材。一眼レフくらい使ってもバチ当たらないんじゃないか?つか3種類くらいカメラ出てくるけど、そこは全部ペンタックスの宣伝だね。
・ミポリン、下っ腹が出ている。中年は残念ながら男女問わずみんなそうだが、女優さんでしょうに。
・ミポリン、向井に電話で指示してシャンゼリゼ通りの端から端までスーツケース転がして歩かせる。結構あるぜ、距離。荷物抱えた旅行者なんだし普通タクシー拾えって教えるだろ、ミポリン。
・ミポリン、泥酔演技がドリフのコントで千鳥足になる志村けんみたい。つかアンタ20年もフランスに住んでる設定の割には無防備過ぎ、ヘタすりゃ死ぬよ?
・初日はミポリン家の風呂場、翌日はミポリン家のダイニングに泊まる向井。ホテルにチェックインしたのに何やってんだ、向井?妹がホテルに連絡してきたらどうするんだよ?
・ダイニングの床で寝転がっていい雰囲気になってるところでミポリン実はバツイチでしかも一人息子を5歳で亡くしてることをサラっと告白。バイきんぐのコントだったら「・・・何て言えばいいっ!?」って絶叫するところです。
・なのにアパートには子供がいた痕跡はどこにもない。本人も特に感傷持ってるわけでもない。全部妄想じゃないのか?悪いことは言わない、逃げろ、向井。
・手慣れた手つきでコーヒーを淹れる向井は新宿の但馬屋珈琲店でバイトをしていたと証言。数時間後すき家でバイトしてた話を披露。なら牛丼作れよ、何でキッシュ作ってんだ?
・「じゃあ最後にどこ行きたい?」と尋ねるミポリン。「じゃあアオイさんの好きな場所」と答える向井。「え、それは・・・」とキョドるミポリン。「え、秘密の場所なの?じゃあいいですよ、他の場所で」と遠慮する向井に「いいわ、行きましょう」と腹を括るミポリン。で、どこ連れてくかと思ったら・・・エッフェル塔!?え?何それ?なんでさっきキョドったの、ミポリン?意味分かんね。下痢?
・というか、向井くんせっかくパリに来たのにセーヌの遊覧船乗ってエッフェル塔行くだけで、あとはずっとミポリンのアパートで雑談・・・世間的にはそういう行動のことを”ゼニをドブに捨てる”と言います。
・ミポリンはイースター特集という観光客には殆どどうでもいい自分の取材に向井を連れ歩き、しかもカメラマンとして使う。ちょっとした奴隷商人ですね、ミポリンさん。
・桐谷と綾野はもっとヒドイ。ちょっと夕方に近所散歩した以外ずっとアパートの中。綾野、お前は彼氏として完全にダメだ。
・向井、ホテルにチェックインしてスーツケース置きっぱでずっとミポリン家泊なので3日間同じ格好。特にシャワーを浴びた形跡もない。まあ個人差あることですが不潔だよ、それ。
・どうでもいいけど、ずーっとカメラがグラグラしててピントも合ったり合わなかったりで、少なくとも19回吐きそうになったんですけど、まさかカメラマン足りないからって猫の手を借りた?ガチで。
これでも言いたいことはだいぶ端折りましたがまあだいたいこんな2時間。要するに人生をナメ倒して生きて来た人間が身の丈に合っただけの酷い目に遭うという因果応報なので観終わった瞬間に私の胸には、
・・・で?
という疑問符しか残らない。
監督の演出技量にも頭を抱えてしまいます。ガチで脚本通りに台詞を言わせるシーンのテンポはカット割りもきっちりしていて前のめりなのに、自由にアドリブさせていると思しきシーンではキャストの目がオロオロと泳ぎ、自分の引出しから必死で台詞を探している様が端から丸わかりで気の毒になるくらいテンポがもたつく。そこは編集でコンマ何秒かつまんでやれば多少は自然になりそうなものですが、そのまま残す意味って一体何なんでしょう。
で、本作のお話はほぼアパートの中で進行、メインキャストも日本人4人だけなのでフランスでロケをする意味がほとんどない。全員でフランスに行くよりミポリン1人を日本に呼んだほうが格段に予算削減できましたよね。だいたい観客にはエッフェル塔と凱旋門とセーヌ川しか観せてくれないので、ロケハンと称して散々観光したツケを観客に払わせているだけ・・・ナメとんのか、コラ?
まあそんな程度の映画だと覚悟して観に行ったのでダメージなんてありませんでしたが、この世には善良な恋人達が存在するわけですよ。封切り最終日の最終回上映でしたが5、6組はいましたね。映画が終わって客電が点いた時の彼らの呆気にとられた表情を私は忘れません。