「せっかくの問題意識が、これではトホホでしょ。」プラチナデータ お水汲み当番さんの映画レビュー(感想・評価)
せっかくの問題意識が、これではトホホでしょ。
最初の15分ほどは、なかなか問題意識をかきたてる始まりとなっていて良かったです。
国民全員のDNAを国家が管理することによるプライバシー侵害や、侵害している側が侵害を屁とも思わないという危険性や、とりわけ一部の特権的な人間だけがDNA登録をこっそり免除される(これがプラチナデータのいわれなのだとか……)というところなど、15年前の名作「エネミー・オブ・アメリカ」(=国家によるプライバシーの侵害に異議を提起するアクション映画)を彷彿とさせて、おおいに期待を抱かせる幕開けでした。
が、しかしそれからがよろしくありません。
ある人間が二重人格であるとか、別の人間が精神に障害を負っているとか、そういう下種なところに屁理屈を付けてケリを付ける話なんて、映画作りの外道中の外道でしかないと思うわけですよ。
ひょっとすると15年前のアメリカ映画人たちの問題意識を、15年後の日本の映画人が継承し、磨きあげて良い作品とすることもできたはずの重たいテーマなのに、東野圭吾ってホント羊頭狗肉の常連って感じで情けないです。
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