「中国ならではの力業で引っ張るアクションとサスペンスの融合」捜査官X 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
中国ならではの力業で引っ張るアクションとサスペンスの融合
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気弱なズブの素人と思わせ、実は史上最強のカンフーマスターだった!!
…って、そんなん推理しなくても、すぐわかりそうなもんやろと一蹴したくなるが、強引に説得させようとするエンターテイメント性は香港ならではの楽しみ方だろう。
冒頭に犯行場面を配置し、一癖も二癖もある捜査官が容疑者に執拗につきまといながら、脳をフル回転して真実を暴いていくタッチは、『刑事コロンボ』や『相棒』etc.の倒叙物の王道を匂わせ、ミステリアスな殺気を盛り立てている。
妄想した格闘シーンの中に飛び込み、現場検証したり、何でもかんでも死因をツボ(いわゆる秘孔)に結び付ける、独特かつ強引な推理技法は、カンフーアクションと謎解きミステリーを融合した今作の独自を象徴して興味深い。
反面、簡単に覆しちゃって、じゃあ冒頭の格闘場面は誰目線だったのか?と、矛盾を感じてしまう。
自ら倒叙ミステリーを早々と否定していて冷めた。
スタイリッシュな世界観は面白かったけど、致命的なのは、対立する構造が一切、不明瞭な点である。
容疑者と捜査官だけでなく、容疑者とその家族、そして自身の過去etc.全てにおいて謎のまま、後半
の怒涛の一大決戦に雪崩れ込む。
そのため、結局、殴りまくって、蹴りまくって、殺しまくる印象しか残らない。
前半の殺伐とした切り口が伏線になっていない気がして、物足りなさを感じた。
でも、ヒロインのダン・ウェイが可愛かったから、まぁイイや。
では、最後に短歌を一首
『毒宿す 拳を見抜く さすらいの 真実射抜く 穴の波紋よ』
by全竜
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